「ヘルシーな食事や生活」が自分や家族を病気に追いやることがある。その典型的なものが「減塩食」で、いくつかの危険性がある。
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第一には、「塩の摂取量と血圧」が関係しているのは日本人の2割から4割とされていて、おおよそ3人に1人しか減塩したから血圧が下がるということはない。つまり日本人の多くの人は、「減塩食」はヘルシーでもなんでもないということだ。
それだけなら危険性はないが、「減塩しているから血圧は心配ない」と思っていると、全然、関係が無いので別の原因で高血圧になるという危険性がある。
また、本来、食塩は体に必要なものなので、食塩が不足してさまざまな病気を引き起こしたり、汗がでなくなって熱中症になったりする危険性が生じる。(血圧のはなしだから前回と似ているけれど、内容は全く別です。)
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二番目は、反対に減塩して血圧が下がり、血流量が減ってガン、腎臓病、うつなどを発症する危険性が高いことである。「血の巡り」は実に大切で、昔から「冷やしたらダメ」、「温泉にゆっくりつかると血の巡りがよくなり、病気が治る」、「秋口に窓を開けて寝ると体が冷えて病気になる」など多くのことが知られている。
現代流に言えば「血の巡りを良くして、免疫力を高める」と言うことになるだろう。ところが、せっかく心臓が動いて少し高い血圧を保ち、血流を良くしているのに、わざわざ「減塩食」で血圧を下げると、それだけ血の巡りは悪くなる。
もともと何かの病気があって血圧が高いときには、病気の原因を取り除かないと血圧だけ下げると危険である。また、加齢による標準的な血圧の上昇は血管壁が歳とともに固くなるので、血圧を上げて血流を保っている。加齢によって血管壁が硬くなるのは加齢によって筋肉が弱くなるのと同じだ。加齢で筋肉が弱くなっても、ほとんどの人は「歳のせいだから仕方が無い」と思い、「筋肉増強剤を使って若い頃の筋肉を保たなければならない」などと考える人はいないだろう。
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つまり、減塩食というのは、「塩分が血圧に影響しない人」は必要とされる塩分をとらず、血圧も変わらないということになる。それが日本人の3人に2人もいる。
次に、「塩分が血圧に関係する人」にとっては、必要な血圧が保てないので、血流が下がり体が冷えたのと同じ状態になり、多くの病気になる。
減塩食が健康に良い人というのはほとんどいないが、少しこじつければ「血圧が食塩摂取量に関係している日本人の3分の1程度の少数の人で、血圧が加齢などではなく、何かの病気で血圧が不必要に上がっていて、その病気の原因が不明か、治療ができない場合」に限定される。
長野県の男性は食塩を12グラム以上とっているのに、日本一長寿である。これは「食塩をとっているから長寿」とも考えられるが、それでも食塩を減らした方が良いという「信仰」が日本社会にあるのは、欧米崇拝の医療、血圧降下剤の膨大な利益、厚労省の継続的な広報、高血圧学会の縦割り医療などに「減塩食信仰」が加わったものである。
今まで減塩食が良いと思っていた人は、心配なら医師の診察を受けて「自分の適正血圧から言って高血圧かどうか、高血圧だったらその原因、自分の血圧が塩分と関係があるかないか」についての明確な診断を受けた方がよい。でも、度を超していれば別だが、ほとんどに医師は「その人の適正血圧」すら診断できないはずである。
しっかりした診断結果から、減塩食が不要なら、適切に味をつけて毎日の食事を楽しむ方が人生を豊かにする。
(平成27年8月17日)