実に不思議なことだが、日本人の多くが「軍隊がいないと戦争が起きない」という錯覚にとらわれている。その論拠も理由も不明だ。
歴史的に事実を整理すると、戦争になる時というのは、
1)
隣国が攻撃的で、国に軍隊がいないか弱い軍隊しかいないとき、
2)
軍事力が拮抗していて利害が対立しているとき、
3)
隣国が差別主義であるとき、
である。第一の原因で戦争が起こったのが、中国のチベット占領や現在の中国の南シナ海領有問題である。中国が1950年ぐらいにチベットを占領したのはチベットの軍事力が中国(中共)より格段に弱かったからで、もしチベットにしっかりした軍隊がいたら中共はチベットを占領しなかっただろう。
チベットは仏教国で、仏教指導者を中心とした「平和国家」であったことが災いして、中共との戦争になり、敗北して占領された。 また、現在、中共が南シナ海に進出しているのは、ベトナム、フィリピン、マレーシアの軍事力が中共より格段に低いので、国際的な話し合いにならず、軍事的な力で中共が押し切ろうとしている。
戦力が拮抗している時も戦争になることがある。主として中世から近世に至る戦争の多い時代はなんでも戦争で方をつけようとした。その被害者の一つがアルザスロレーヌ地域で、あるときはフランス、あるときはドイツになって呻吟した。でもこの手の戦争は戦争が賛美されない最近では少なくなっている。
第三の理由で戦争が起きるのは、大東亜戦争の時のアメリカ(日本は黄色人種で頭角を現してはいけない)と、現代の中国(中共政府)である。アメリカ人は白人で神の命令を受けて自分たちが裁きを行う世界の警察官と錯覚している。また中共(中国)は中華思想を縦にとって、「俺たちはアジアで一番偉い。白人の手下ならなる」という考えだ。
日本で「軍隊を持つと戦争になる」と思っている人は、このような歴史的事実をどのように考えているのだろうか? 平和憲法があれば軍隊がなくても侵略されないというならチベットも平和憲法を持てば独立できることになる。
私には親として無責任に感じる。
(平成27年7月26日)