福島では小児甲状腺ガンの患者数が900人に上る可能性があるということで、病院が準備を始めた。また、福島と長崎の大学が協力して被曝の患者さんの治療の本格的な研究と設備を作ることに決定した。

小児関係の甲状腺ガンは、福島原発事故が起こる前までは「100万人に一人」と言われていたが、現状で心配されているのは、33万人に900人だから100万人に換算すると2700人というものすごい数になる。

このブログで再三、指摘しているように「被曝と健康」に関しては学問的にも医学的にも不明な点が多く、見解が一致するものではない。ただ、それでもフライングで原発を使うということで、仮決めをしなければならない。なにか産業を始めるのにその産業で起こる人体への影響が不明という訳にはいかないからだ。そこで「一般人は11ミリシーベルトを被曝限度とする」と法令で決まっている(法令のベクレル、設計基準、食品基準などのもとになる数字)。

事故から4年以上を経ても、まだ「パニック」を恐れているのか、報道が正しく情報を伝えないので、11ミリシーベルトを超える被曝が続いている。食品も「風評」ということは言われるが、現実に福島に住んでいる子供が、「空間線量+食品からの被曝+土埃や水からの被曝」の合計がどのぐらいになっているのか、甲状腺ガン以外の疾病が出ていないのかがほとんど報道されない。

事故で被曝の危険性が高いときには、当然ではあるが、「できるだけ被曝を避ける」という方向で、その限度は「法令の基準になっている11ミリを目安にする」というのは当然だろう。

福島県の医師団は、意図的ではないだろうが、人体実験のようなことをしている。原発事故のあと、医師団が総出に近い状態で福島県民に「被曝しても大丈夫。100ミリまで大丈夫」といって避難を遅らせ、汚染された食材を認めた。

一方、私個人は問題がないが、私が「11ミリが被曝限度」というと週刊新潮が「11ミリ男」と揶揄する記事を出し、「福島の子供に汚染された野菜を食べさせてはいけない」と言うとテレビと新聞から総スカンを食った。

福島医師団も武田も問題ではない。問題は、本当に子供の甲状腺ガンが900人も出そうなら、今からでも子供たちの避難、休養などの措置が必要だからだ。また、福島医大と長崎大学が「被曝の研究及び治療チーム」を作るということはさらに患者が増える可能性があるということだ。

医師がもっともやってはいけないことは、疾病の可能性があるのに「大丈夫」といって国民を危険にさらし、その片方では疾病が出たときの準備をするということだ。本当にそうなっているのか、実は違う意図を持っているのか、早急に報道は明らかにしてほしい。報道は国民が危機に陥りそうになっているときにこそ、その存在価値を示すべきと思う。

(平成27710日)