アメリカはなぜ日本に軍隊をおいて自分たちの若者の血を流しても日本を防衛しようとしてきたのだろうか? その理由は3つほどあると思う。
1) ロシア(ソ連)や中国の脅威からアメリカを守るのは、西太平洋の日本列島は最適の地理的環境にある。
2) アメリカの東はヨーロッパでそこは同盟関係にあるから、国防の関心はもっぱら東にある。
3) 日本に原爆を落としたので、その汚点をなんとか回復したいとおもった。
もちろん、常識的に考えれば1)がもっとも可能性が高い。でも、こういった複雑案原因を考えるときには、最初から考えているものだけでは不十分な時が多いので、十分に広く考えておく必要がある。
アメリカ軍は本土は別にして全世界に20万人ぐらいの軍隊を派遣しているが、そのうちの半分の約10万が太平洋で、そのうち約半分を日本と日本近海に展開している。アメリカにとっても極めて重要な地域と同盟関係であることが分かる。
日米安保条約というのは間違いなく集団的自衛だが、片務的で、アメリカは日本を守るけれど、日本はアメリカを守らないという「親子関係」にある。私のように日本に誇りを持っている人間に採ってみれば、アメリカと日本とを比べれば、日本が親なら分かるがアメリカが親では我慢ができない。
日本が「大人」になるには、アメリカとの同盟関係を止めて日本独自で軍隊を持つか、あるいは、アメリカとの本当の意味での集団的自衛に踏み切るかである。2015年に安倍政権が提案した集団的自衛権は、それまでの親子関係の集団的自衛を、大人同士の集団的自衛に変えようとしたにすぎない。
このとき、国会の参考人に出てきた憲法学者は「集団的自衛権は憲法違反だ」と言ったが、それなら片務的(親子関係)でも双務的(大人同士)でも憲法違反でなければつじつまがあわない。一流の学者が木を見て森を見ないということがよく分かる。
沖縄の基地やオスプレイの問題は、この大きな課題の一側面に過ぎない。沖縄が尖閣諸島や石垣島を中国の侵略から本気で守らなければならないと言うなら、沖縄のアメリカ軍基地(海兵隊を含む)とオスプレイはどうしても必要だ。
オスプレイ外の機動力を持ったヘリコプターの航続距離は沖縄本島に限定され、石垣島や尖閣諸島を守ることはできない。そして中国が尖閣諸島を侵略しようとしているのは明々白々で、それは中国による南シナ海の島の建設でも証明される。
沖縄が被害を受けているのは確かだから、これまでの援助やその他のことを継続的にしなければならないが、沖縄が日本であるかぎり、アメリカ軍の基地とオスプレイがいることは確かである。
平和憲法を守れと言いながら、具体的な質問には答えられない社会党の闘士と同じご都合主義の言動ではどうにもならない。
(平成27年7月4日)