大塚家具の創業者とその長女が大塚家具の経営方針について争い、それが社会的な問題になっている。テレビ、新聞は、「父親と長女の争い」、「見にくい株主囲い込み」に焦点を当てて報道しているが、三流週刊誌ならともかく、国民もそんなことではテレビ、新聞を馬鹿にするだろう。

上場している株式会社というのは、一つの社会的存在として経営方針や経理内容などを常に公開し、株主がそれを適切に判断するシステムで、社会の公的存在だ。だから、テレビや新聞が報道する方向と全く違い、今回の大塚家具のやり方は実に公明正大でとかく内部で経営の対立を処理しがちな日本の会社の中で、未来の方向を示している。

それを親子(もともと無関係)とか、囲い込み(経営方針の対立を積極的に株主に訴えて判断を得るのはもっともまともな方法)などと報道してあたかも「闇で経営の判断の争いを片付けなさい」という方向を示しているのは、記者やディレクターの錯覚に過ぎない。

今回の対立は、高級家具・顧客方式で行くか、大衆路線をとるかという経営判断としては誠に結構なことで、それが株主に見える形で説明されていることも評価できる。

当人は親子であるから若干は感情的なコメントが入るが、報道はむしろそれを全面に出すのではなく、親子であっても、「一人の大人と一人の大人」の見解の違いとして報道すべきである。

実に不見識で、見当外れの報道で、日本を浪花節、旧弊を固定するものである。

(平成27325日)