人間は大脳支配だ。だからこそ万物の霊長と言われ、他の動物を圧倒的に支配している。体の大きさ、筋肉の強さ、牙などはあまり立派ではない。それが万物の霊長として君臨しているのは、ひとえに人間の大脳の力だ。でも、良いことばかりではない。これほど大きな大脳を持っていると都合の悪いことも起こる。
お母さんが子供に向かって「あなた! グズねっ!!」とよく叱っているのを見る。もちろん、お母さんは「あなた、もっと素早くなんでもできるようにならなければダメよ。そんなにグズじゃ、みんなに負けてしまうわよ」という心配なのだが、フルセンテンスの終わりの方の一部しか言わない。
そうすると、子供は「わかっていないから分からない」のだから、お母さんの言っている言葉どおりにしようと思い、その結果、グズになってしまう。子供に言うときにはちょっと考えて、その子供が身につけてほしい言葉を口にする。たとえば「グズね」と叱るときには、「もっと素早くやりなさい」と叱る。
赤ちゃんは誰もが意欲満々に生まれ、自己達成欲に充ち満ちている。だからそのまま育てれば思春期になっても大学生になっても、意欲があり、自己達成欲のある素晴らしい子供になる。それを毎日のように壊しているのが、両親と学校の先生と私は思う。
それは「ルーズに育てろ」とか「何でも褒めろ」と言うことではない。子供になってほしいことを言い、子供が全力でやっても失敗したときには、何が原因かをよく考えてアドバイスし、子供が何かを達成したときには「褒める」とか「オモチャを買ってあげる」のではなく、「達成したことを子供と一緒に喜ぶ」ということだ。
厳しく育て、常に共感する・・・これが教育の王道であることは、多くの先人たち、先端の教育学で認められていることで、なにも特別なことではない。
(平成27年2月25日)