レストランで本格的な料理を食べると美味しいけれど、どうも家庭の居間の食事はもう一つと感じている人は多いと思います。それは当然で、第一、値段が違う、食材が違う、そして専門のシェフとお母さんだから違う、と思っている人が多いようです。

でも、違うかもしれません。家庭は「おいしく食べよう」としていないからとも言えます。少し工夫をしてお母さんの料理が美味しくなる方法を考えてみたいと思います。

人間の五感には、触覚、臭覚、視覚、聴覚、味覚の5つがあり、この順番に「強い」とされています。若干の学説の違いはありますが、このような五感は相互に関係していて、たとえば「風邪で鼻がつまっていると味がわからない」というようなことがあります。特に味覚は最下位ですので、人に触られていたら味がわからないのは当然ですが、強い匂いの中では味が不味くなり、見て汚らしい食事も楽しく頂けません。

さらに航空機の機内食はいくら豪華なものがでてもあまり美味しくなく、なんとか機内食の味をよくする研究が行われていましたが、なにしろジェット機のエンジン音がうるさいので、到底、美味しい食事は提供できないと言われています。

またレストランで、料理を出すごとに料理の説明を受けると聴覚が働いて味が薄くなり、写メを取ると視覚が刺激されてろくなことはありません。

このような予備知識をもって、自分の家で食事をする部屋を見てみると、壁にはゴタゴタといろいろなものが貼ってあったり、かけてあったりするし、食事のテーブルからは台所のゴチャゴチャした様子が見え、さらにはテレビが大きな音を出している、ちょっと腕を動かすとなにかに触れたり、生野菜を食べているのに魚焼き器から匂いが・・・触覚、臭覚、視覚、聴覚をフルに食事と違うことに使っているのが普通です。

これでは美味しいはずのお母さんの料理も、まずくなってしまいます。

まず、食事をする部屋をスッキリさせて、「視覚に訴えるもの」を最小限にすること、第二に、大きなテレビの音や不快な小さな音が聞こえないように工夫し、できれば小さなBGMを流すなどの工夫をすること、そして第三に、家族で楽しい話をするように努めること・・・それでお母さんの料理はとてもおいしく感じられるようになるでしょう。

そんなことはできない、ウチはダイニング・キッチンだから、というご家庭はダイニング・キッチンという能率本位の考えから、すこし食事を運ぶ手間があっても、台所が見えにくいように工夫をすると味がさらに良くなります。

もちろん、食器もなにかの機会にときどき買い求めたり、入れ替えたりするのも一つの方法です。コツは「必要な大きさよりやや大きめ」で、洋食なら「白いお皿に赤やピンクの小さな絵」がついたもの、和食なら落ち着いた食器を準備することも大切です。機会があったら生活の知恵のシリーズで、「部屋の片付き方と病気」の関係にも触れたいと思っていますが、その手始めに食事の場所の工夫をおすすめします。

(平成27212日)