子供たちや日本社会は荒れた道徳の中に住んでいます。20年前の愛知県の中学生のイジメによる自殺から、2014年に起こったSTAPイジメによる優秀な科学者の自殺。さらには政治家や官僚の利権争い、若い人のだらしない態度、年配者の集団のみっともない公衆道徳のなさ・・・など、確かに日本はかつての「誠実、正直、礼儀」の社会を失ったと思います。

今、社会の道徳を「愛国教育」という方向で回復しようとしていますが、方向が違うのではないかと思います。現代の日本人が必要としている道徳は、第一に「国を愛すること」ではなく、「社会に住む日本人がお互いに守るべき規範」をともかく一回でもみんなで合意して、それを文章にすることです。

かつては「夫婦は愛し合い、兄弟は仲良く、友人を尊敬し、社会道徳を守る」ということを学校でも教えていましたが、今では「夫婦は喧嘩、兄弟は無視、友人は使い捨て、外では道徳は守らなくても良い」と教えているような感じです。

だから教室で麻雀をしている子供を注意すると「なんで、麻雀がいけねえんだ!センコウ」となるし、大学で実験が遅れて長引いて学生を8時頃まで残すと、直ちに親から「なんで子供残すのか」と大学へクレームが来る時代です。

こんなことが起こったとき、大学が親のクレームに従って、学生の教育をおろそかにするのは、今まで朝日新聞を中心として、かならず「先生が悪い」ということになったからですが、その根本は、NHKや朝日新聞自体が「ウソをついても良い」、「自分の視聴率、購買を上げるためには何をやっても良い」ということを続けているからです。

「道徳」は必要ですが、それを「愛国」から始めずに、「社会のお互いの約束」から考え、それをまずは「社会で合意して文章に示す」ということをしたいと思います。でも、そうすると、おそらくバッシングされると思います。それで道徳教育といってもまた「天皇陛下、万歳」になるのは間違いなく、その結果、また軍部の台頭を恐れて、日本軍さえ作ることができないという情けない結果になるでしょう。

ためしに、私がバッシングを恐れず、「みんなが望んでいると思われる道徳」を数行書いてみます。
「私たちが日本社会で、お互いのために守るべき規範」(道徳教育の骨子案)
1)人との約束は守るようにしましょう。(民主党が反対)
2)多様性を認め、お互いの人権を尊重しましょう。(自民党と官僚が反対)
3)ウソをつかないようにしましょう。(NHKが反対)
4)日本を大切にしましょう。(朝日新聞が反対)
5)公共の場所では服装、態度、言葉を丁寧に。(若者、老人クラブが反対)
6)家族を大切に、愛し合いましょう。(女性団体が反対)

むつかしいですね。

(平成26121日)