人間は大脳支配の動物だから、寿命から健康まで頭脳の影響は非常に大きい。最近の研究を見ると、「老化」ですら「自分が歳をとった」とか「歳のせいで物忘れをするようになった」と「思う」ことで老化したり、物忘れするということらしい。

まして、精神的なものはもともと頭脳の産物だから、「考え方」の影響を受けることは間違いない。前回、「テニスの原理」を説明した。人間というのは自己防衛反応が発達しているので、自分の有利なことを事実と信じる傾向がある。それも動物としては仕方がないことだが、「人間が事実と思うことは、自分に有利なことだ」ということを知っているだけでかなりの不満はなくなる。

もう一つ、サラリーマンの人は「自分が正しく評価されていない」という不満とともに、「自分はもっと報われるべきだ」と奇妙なことを考えている。会社に入ったら退職まで原則として報われない。会社の大きさにもよるが1年に20名の新入社員が入り、社長が平均して6年在任する場合、社長になるのは中途で入社したり、親会社からの人が来ないとしても120名のうち、1名しか社長にならない。

これを私は「三角形の原理」と言っている。トーナメントの原理といっても良いが、ともかく最後に報われるのは100人に一人とかそのぐらいだから、ほとんどの人は「悔し涙」にくれることになる。

「そんなことはない。俺は部長になれば御の字だ」と思うのは「平」だからで、部長になればなったで、自分より業績の低い人が自分の上司になって命令してくると心中穏やかではない。つまり「テニスの原理」と「三角形の原理」が働くので、企業に勤めたら、満足な人生を送ることができるのは100分の1ぐらいの確率ということだ。

そこで、この二つの原理を回避する方法を最初からとっておく必要がある。私自身、人生の前半生は会社の技術者として、この二つの原則を最初から回避する方法をとっていた。そのことをもう一つの原則のお話をしたあと、まとめたいと思っている。ともかく、まずは「原則の確認」をしたい。
(最後の数秒、録音が切れました。すみません)

(平成26123日)