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沖縄県知事選挙で前の那覇市町が36万票、現知事が26万票と圧倒的な差をつけて知事としては新人が当選した。現在、国会で3分の2に達するかという議席を持っている自民党が必死で現知事を応援しても県民の判断とは大きく違っていた。

これに対して、政府、中央は「基地の人たちの選挙ではなかった」、「一旦、決まったものを恣意的に変えることはできない」などと見当はずれのことを言っていた。選挙が近いが、もし自民党に互する政党があったら、この発言は大きな失点となって、自民党は選挙に勝てないだろう。

沖縄は次のように考えている。わたしは沖縄の仕事を15年ほどやってきて、今回の選挙結果を理解することができるし、そうだと思うからここに書いてみたい。

1) 戦争で沖縄は戦場になり(日本国土で戦場になったのは県単位では沖縄だけ)、悲惨な体験をしたが、アメリカ軍が南方から来たこと、沖縄が最南端であることから、事実を受け入れている(偉い!)。

2) 戦後、なぜか沖縄だけがアメリカ軍の占領から脱出するのが遅れたが、これも日本全体のことを考えて事実を受け入れている(偉い!)。

3) 上記のような歴史的事実から、アメリカ軍の基地が沖縄に極端に多いことに対して、我慢はするが好ましくはないと考えている。

4) 沖縄が本当の意味で立派な県になるためには、現実的に資金もいるので、基地の存在はその意味ではありがたいが、同時に沖縄の未来のためには好ましくないと思っている(ここが一番、本土の人が理解していないことだが、本来は好ましくないが、未来のために甘受しているということ)。

5) 沖縄の未来像はもちろん基地のない沖縄であり、自立した豊かな沖縄なので、それに向かって進むなら良いが、「お金を出すから黙ってろ」という話には全く乗れない。沖縄の人が大切なのは沖縄そのものだから。

今回の選挙の結果は、現知事が沖縄の人の心に沿って「辺野古移設反対」の立場だったのに、3400億円というお金に目がくらんで「良い正月だった」と発言したことに尽きる。知事がなぜこんなことを言ったのか不明だが、沖縄の人がもっとも嫌っていたこと(沖縄の未来抜きにお金の話)だからで、私でも直感的に、「それはないよ」と思うことだからだ。

沖縄の基地の問題は、「基地反対闘争」で片付くような問題ではない。それを沖縄の人に押し付けているので解決しない。日本の防衛、憲法、アメリカ軍との関係、中国との外交がすべて入っているので、それを日本人自体が解決しないと、沖縄の基地の問題は解決しない。つまり、沖縄の問題は日本全体の問題なのだが、日本人はそれを沖縄に押し付けているだけだから、沖縄が怒るのは当然でもある。

今回の選挙の大きな争点が基地問題であったことは確かで、それでこれほど明確な結論がでたのに、「選挙をした人は基地に関係がない」とか「恣意的に変更できない(恣意的とは、論理的な根拠がなく思いつきでやることで、選挙の結果が恣意的なら選挙がなかったも同然だから)」という政府は、選挙を認めないということと同じだから、即刻、選挙で選ばれた自民党議員は辞職するべきである。

自分が選挙で選ばれて国会にいるのに、沖縄の選挙は無視するというのでは二枚舌、両価性で民主主義を支持していないからだ。12月に予定している選挙も「民意がどうであれ、自民党が好きにやる」というのと同じだ。

ともあれ、沖縄知事選の結果は、「沖縄の人は立派で、本土の日本人はズル」だということをはっきりと示した。この際、私たちは沖縄のアメリカ軍基地を早期にゼロにするように本格的な議論とスケジュールを示すべきと思う。これは左翼とか右翼という問題ではなく、日本人、大和民族としての矜持の問題である。我々がもし多くのアジアの国を植民地として収奪した白人や、周辺諸国を圧迫する中国人と違うというなら、その証拠を見せなければならない。

(平成261117日)