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201411(今月)に交わされた日中合意文書と習近平氏の子供じみた首脳会談の会見時の非礼など、北京で行われたAPECの会議を取り巻く国際情勢はきわめて憂慮すべきもののように思う。

第一に尖閣諸島について、これまで「日本:領有権問題はない、中国:領有権問題はある」ということだったが、これは尖閣諸島に対して日本の方が優位にあることをしめしていた。つまり日本の態度は10:0で日本の領土だと主張できるが、中国は「領土問題あり=両国で意見が違う」、5:5としか主張できなかったからだ。

算数ではないので平均を取ることはできないが、感じとしては155、つまり7525で尖閣諸島は日本の領有権のほうが根拠があると双方が認めていたことを意味している。アメリカは終始、「尖閣諸島についての日本の施政権を認める。領有権は意見なし」という態度だった。これは台湾問題との絡みがある。

しかし、今度、日中合意文書で双方が領有権問題はあると認めたことで、論拠は50:50になったことを示している。よく外国との関係は武力に訴えることはせず、「平和外交」を貫くべきだということで日本の世論は一致しているように見える。

平和外交というのは「武力」を使わないのだから、「論理」、「雰囲気」、「国際世論」などを背景にして「武力を使わずに問題を解決する」ということだ。そのためには個別の問題に対して「断固たる意志を示し態度を取り、相手に対して優位な論理をたて、国内や相手の国の雰囲気を誘導し、国際世論を味方に付ける」ということが大切だ。

「尖閣諸島がなぜ日本の領土なのか」ということを日本人ですらしっかりと論理を組み立てることができない。NHKや新聞からの情報が提供されないからだ。次に日本国内の雰囲気が「中国と友好関係を築くことは賛成だが、日本で唯一の膨大な石油資源のある尖閣諸島を譲ることはできない」ということもない。

メタンハイドレードが悪いとは言わないが、それより遥かに現実的な石油資源がまだはっきりしないが1000億バレルを越える量(イラクの推定埋蔵量は1500億バレル)と言われる尖閣諸島をどうするのかすら日本国内での議論が進んでいない。

さらには、日本を取り巻くアメリカ、中国、ロシア、そして韓国がともに日本に対して必ずしも好意的な政策を取っていないこと、アメリカ軍の日本からの撤退の時期が迫っていることから、日本の経済力などを活かして、これらの国が日本との関係を悪くすることは国益に反するという雰囲気もできていない。

首脳会談における習近平氏の態度は、中国国内向けもあるけれど、主眼は日本に対する威嚇と混乱を呼ぶ戦略と考えられる。日本のなかには「むやみにいい子ぶる人たち」、「反日日本人(日本を貶めることに快感を覚える人たち)」と「それを支持するNHK」がいることをよく知っている。

その術中にはまっている具体的な例が、世界で日本だけが二酸化炭素の削減を続けていることだが、今回の態度で日本の「いい子ぶるひと」は「習近平は無礼だ」と感情的に反発するだろうし、反日日本人は安倍首相を批判するだろう。いずれも「中国は何故、あのような態度に出ているのか、あの態度は日本に対するどういうメッセージか」という方向ではなく、もっと容易に考えられること・・・国内向け・・・と解釈して終わりにするだろう。

平和外交とはこのようなときに、武力を用いずにその地位を確保することであり、APECはアジアが中心となる経済圏だから、主催国中国とアジアでもっとも経済力がある日本とが並び、その脇にアメリカとロシアがいるぐらいの配置になることに全力を注ぐことであり、やや親日反中国の東南アジア諸国との連携で揺さぶりをかけなければならないだろう。

もし弱腰の平和外交が続けば、日本は次第に追い詰められ、やがてかつての道・・・少しずつ譲っているうちに追い詰められて、最後は自暴自棄になって戦争を挑むという悪くせになってしまうと思う。平和外交とは譲らないことだ。

(平成261112日)