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テレビを見ても、新聞を読んでも「事実」を知ることができないと困っている人が多い。どうでも良い人生ならそれでも良いが、自分の人生を誤らないように、子供が幸福になるようにと考えると、大人の責任は思い。

といっても実際にはテレビしか情報源はない(新聞は地方紙がすこし情報源になるが、中央五誌(毎日、朝日、読売、日経、産経)は情報がテレビより遅く、間違いが多いので購読する必要はない。

そこでテレビを見て、その中のウソを見分けて事実を知る方法を何回かで整理をしてみたいと思う。第一回は「偉い人」の考え方を知るということだ。テレビは「偉い人」に弱い。それはテレビ局の「言い訳」を作り、「放送認可」を得るために必要だからだ。だから、偉い人がウソを言ってもそのまま報道する。その一例から始めたい。

今年(2014年)は台風は少なかったが10月に18号、19号と中型の台風が2つ上陸したので、テレビに「元気象庁長官」という人が頻繁に解説に出ていた。実に面白い人で「海水温が高いから10月に台風が来る。温暖化が原因だ」と繰り返す。一緒にいた気象予報士は困っていた。

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というのは、ここに示したように、2009年、気象庁予報部の課長が「予防時報」に台風観測と予報について論文を書いている。私はあまり原著を引用するのは好まない。小さいことに議論が行くからだが、ここでは論旨をはっきりして反論がでないようにもとの資料をつけた。

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著者は温暖化によって台風の発生がどのように変化したかについて数多くの研究がなされていると書き、その結果、1950年から2010年までの58年間の台風の状態をデータで示したうえで、「台風の数も強さも変わっていない」と結論している。

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私がかつて整理した時も同じ結果だが、なにしろデータのソースが気象庁だから、ある程度、科学の訓練を受けた人なら同じ結果になるはずだ。つまり、データを見ると長期的なトレンドは見られないものの、強いて言えば、台風の数は20世紀後半からかなり減少していること、巨大台風は1940年ぐらいから1960年には見られたが、その後は巨大台風がなくなった。

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さらに気象庁の発表によると、このブログでも度々、指摘しているように1997年から17年間も「地球の気温は変わっていない」とされている。これはすでにグラフでもデータでもはっきりと示されている。17年も気温の変化がないのだから、「今年の台風は温暖化が原因している」というのとは全く違う。

ここまで事実を示して、いよいよ本題に入りたい。なぜ、「元気象庁長官は、気象庁予報部の論文、気象庁の発表した平均気温と真逆のことを白昼堂々とテレビでくり返し発言するのか、そしてテレビはなぜそのような非常識な人をくり返しテレビに登場させるのか」を取り上げたい。

かりに偉い人が正しいことを発信し、テレビが偉くても偉くなくても、裏付けをとっているので、事実と違うことを言う人を排除していれば、テレビは信頼されていただろう。それが現在のように多くの日本人がテレビを信用しなくなったのは、事実を違うことを言う偉い人が登場し、それを無批判に出演させているからだからだ。

まず、元気象庁長官などの日本の指導者の一般的な頭の中を整理してみる。
1)国立大学を卒業し、その道一筋の人で、たとえば今度のような場合は予報部長も経験しているので、知識も理解度も高い。
2)従って、台風が60年間、大きく変化せず、どちらかというと最近は台風が小さくなっていることを知っている。この「知っている」というのが重要である。

3)現在の日本の偉い人は民主主義(国民が主人)というのを信じていない。殿様がいる封建主義を信奉しているので「よらしむべし、知らしむべからず」が良いと思っている(一般論)。
4)強いパターナリズムである(家族の中で俺だけが正しいという確信のあるオヤジで、なんでも家族に自分の考えを押し付ける。だから事実も本当のことは言わないという考え。一般論)。
5)権威を第一にし、勲章をもらいたいので、特に定年後は政府や官僚には決して逆らわない(一般論)。
元気象庁長官の場合は、1)、2)は当てはまるが、3)から5)は一般論だ。しかし、自分が知っていることと正反対のことをテレビで言い、そこにいた気象予報士にやや強制するような発言をする理由は、まさに「日本の偉い人」に見られる3)と4)による。勲章も気にはなっていて「差し障りのないことだけを言いたい」という気分もあるのだが、それより本心から「封建主義、パターナリズム」なのである。

日本は建前は民主主義(国民一人ひとりが主人で、官は公僕)ということになっているが、それは建前であって、日本人の民度から言えば、そんなことは架空で日本をうまくやっていくには、国民に情報の一部を提供し、あまり考えさせず、NHKに人の良さそうなアナウンサーを配置しておけば、肝心な情報は一部の人だけで独占できる。

それは指導層が豊かになることでもあり、かつ日本が発展するために必要なのだ、と確信している。私も国立大学出身だが、国立大学のトップクラスの人は「俺は優秀だから報われて当然だ」と思っている。「税金で勉強させてもらったのだから、社会に出たら奉仕をする」などという思想はほとんどない。また与えられた問題を解くのは得意で、口先はうまいので、なんでもかわすことぐらい大丈夫という自信もある。

だから、彼らは「ウソをつく(知っているのに違うことをいう)」というのが正しい(ウソも方便)」と確信しているのだ。ウソをついていけないと思っていると、顔に出たり、それがストレスになったりするのだが、「正しく嘘をついている。嘘をつかなければこの社会は成り立たない」という確信があるから、人には分からない。

特に、日常的にあまりウソをつかない人から見ると、テレビに出る偉い人が確信に満ちていうので、そう思っていると信じてしまう。テレビのウソを見分ける第一のことは、「偉い人はウソをつく。ウソをつくのが正しいと信じている」ということを知ることだ。

だから、まず慣れないうちは「テレビに出る偉い人の言ったことはウソである」と考えるのもテレビから事実を知る一つの方法と思う。

(平成261016日)