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「老化現象」という表現に二つある。一つは、人生を長く続けていると、人体を作っている材料や反応が少しずつ劣化してきる現象で、一般の機械などで言えば「手入れを良くしてもどうしても徐々に古くなって行く」と同じ状態をさす。もう一つは、手入れが悪いから結果として老化のように見えるということだ。

たとえば、20歳でもまったく歩かずに毎日、ベッドで寝ていたら足の骨が細くなる。これは「老化」ではなく「不使用による機能低下」である。毎日、1万歩、あるいは3時間立っているのに徐々に骨が弱くなってくるのは「老化」である。

でも、普通は「老化+不使用現象」を「老化」と言う専門家もいるし、それに影響されて諦めている人が多い。若い頃から無理をしない程度の適切な運動をしていれば日常的に使う程度の筋肉はほとんど弱くならない、つまり老化しない。また一日3時間以上は立ったり、カルシウムを摂るのに心がけていれば、骨はほとんど傷まない。

健康という意味での人生の選択は二つあると思う。一つが頭も体も「老化と不使用」に合わせて衰えていくにまかせ、短命を甘受するという考えかた、もう一つが「少し辛い思いをして頭、体、骨を鍛えて長寿を楽しむ」という思想だ。どちらも人間の尊厳の範囲で問題はない。私の知り合いの一橋大学の教授は、「自分は学問が好きだから、運動はしたくない。それで終わりになれば終わりで良い」と言われていた。立派な見識だ。

わたしは体を動かすのが好きなので、頭も使い、体もある程度鍛え、時には日光浴もして代謝もうまくいくようにし、そこそこの人生を楽しもうと思う。でも、「老化」と「不使用」を分けて、運不運でいつ何時、どうなるかは分からないが、自分の希望する人生を送りたいものだ。

できれば、医師、栄養学の方、運動関係の方などが「その人の考えにあった人生を送ることができるように、画一的ではなく多様な考え方、老化と不使用の差をあきらかにしながら健康指導をしてもらいたいと思う。そして「その人の人生はその人が決める」のであり、健康で長寿なのが良いとか、まして医療費を削減することを目的にその人の送りたい人生を指導するなどは控えてもらいたいと思う。

(平成26111日)