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NHKと東大教授というのはなかなか良いコンビのように思う。どちらも「平気でウソをつく」ということや、「口先は優れている」ということだ。たとえば、あることを言う時に、それまでに言っていたことと全く違うことを言う場合でも顔色一つ変えず、悪びれずに堂々としている。ある意味でたいしたものだ。

温暖化のサミットに合わせて、温暖化の番組を組んで東大教授を出していた。「政府が右と言えば右」、「国民に優しく説明するためには政府と違うことを言ったり、国民が考えなければならないことはダメ」という信念と方針によるもので、それなりにつじつまが合っている。

そこで、東大教授が科学としては驚天動地のことを言っていた。「ここ10年ほど、地球の気温は変わっていない。これは「停滞」とは言わずに「ハイエイタス」という用語を使う(そうするとNHKがこれまで放送してきたこと=温暖化が進んでいるというのとの差がわからなくなる)」ということと、「その原因は深海に熱が吸収されたからだ」と言っていた。

全体としてつじつまの合わないことを言っても庶民がわからないことをよく知っている。言葉は悪いが詐欺師というのはそういうものだ。NHKはずっと「温暖化が進んでいる」と放送してきたが、実は若干、寒冷化していたという事実が、NHKの批判にならないように頭を絞ったのだろう。絞るなら国民のために絞って欲しいものだ。

まず、期間を短く言う(17年を10年)、次に温暖化してなかったというと露骨だから「ハイエイタス」と言う。さらに気温が上がらなかった理由が必要だから、深海の温度が上がっているということで説明した。

最初の2つは子供だましだが、三番目はちょっと物理の知識がいる。ごく簡単だが、「大気の熱が海に吸収されるとまずは表面の温度が上がるが、それを言わなければ、熱が海を貫通することになり、専門的には間違っているが庶民はわからない」と踏んだ。

さらに、海流があるから海の深いところに熱が持っていかれるといえばなんとなくそう思うだろうという作戦だ。でも大気から熱が海洋に伝熱する時には、海面全体で熱が伝達するから、それが海の深いところだけ温度が上がるはずもない。こんなことを学会で発表したらかかなり突っ込まれるだろう。

ところでこの説明は、これまで人工的に二酸化炭素が増えるときには、0.01%増える速度が速いから、熱は海洋に逃げない、だからかつて自然に変化したCO2の影響と、現在の人工的な変化は違うのだという説明を全て覆すものだ。

つまりわずか10年か20年の間に、大気中蓄積した熱の全てが海洋の深部に吸収することになり、そんなに熱移動が早いなら、時間の問題ではなくなるからである。

私はこの番組を聞いて、そろそろ暴動が起こるのではないか、これほどのウソが通るようになった社会はいったいどういうことになるだろうか?と考え込んでしまった。

(平成26927日)