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大気中のCO2が増えると、CO2が海水に溶けて海水が酸性になるとまじめに説明している専門家やマスコミが多い。驚くべき低学力、というか科学と言うものを知らないのにはびっくりする。「そんなことはありませんよ」と言うと、「だって、CO2をコップに溶かせば、酸性になるじゃないか」と反論してくる。そこでまた驚く。

自然現象だから、「条件によって結果が変わる」のは当然で、水しか入っていないガラスのコップにCO2を溶かせば酸性になる。でも、コップがCaOでできて入れば、酸性になろうとすると、それをCaOが中和するから酸性にはならない。

この地球はできたときに地上や地下に酸性やアルカリ性物質があり、おおよそ全体としては中性でできている。だから、短い時間、たとえば1日ぐらい、どこかで酸性の場所ができることはあっても、1年間とか太平洋というような時間的にも空間的にも大きなところでPH(酸性度)が変化すれば、もともと、逆のものが同じ量だけあるのだから、必ず中和される。

もしCO2が増えると海水が酸性になるというなら、そちらの方が珍しい現象だから、場所や時間が特定されるはずだ。つまり「普通にはCO2が海水に溶ければ、弱アルカリ物質がその分だけ融けてpHは一定に保たれるが、場所がどこどこで、時間が何時間の間だけならpHが一時的に酸性になることがある」という説明をしなければならない。

学校では、中和反応や緩衝作用というのを教える。それと反することが白昼堂々と専門家が言うのだから、科学教育も難しいものだ。

(平成26913日)