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日本のマスコミと学校が苦悩し始めたもっとも大きな原因が「左翼学者・御用学者」の出現だろう。まず、戦後、間もなく主として東大法学部を中心とした「左翼学者」が登場した。正確に言うと「共産主義賛美」と「欧米崇拝」の両方の価値観を持った特殊な人たちだったが、歴史的な必然性はあった。

日本がアメリカに負けて占領されたので、第一に「自由主義的思想のほうが出世できる」と考え、アメリカとヨーロッパの学会や各界の人と親しくなり、「日本を悪く言う」ということを徹底的にした人だ。この学者たちは日本社会(朝日新聞に代表されるマスコミ、市民活動家、知識人など)に強く支持された。

もう一つの流れが、「左翼的、つまり共産主義賛美」であって、日本が講和条約を結ぶときにソ連が参加してないことを理由に協力に反対した当時の東大の南原繁総長だ。吉田茂首相が「南原総長らが主張する全面講和は曲学阿世の徒の空論で、永世中立は意味がない」と言ったように空理空論が展開された。

戦後まもなく「欧米礼賛」「共産主義賛美」の学者が大量に出現した理由は今後、よく考えてみなければならない。当時、「日本が戦争を始めた」と言い、「軍部が悪かった」とし、「日本人は劣等民族だ」という意識を作ったのは彼らだったし、それに基づいて「家族の消滅(教育基本法)」、「日本史を無視する(教科書)」、「欧米とソ連追従」という日本の戦後の基本的考え方を作った。

その最先鋒が「朝日新聞」と「日教組」だった。彼らの行動に一貫性がなかったことは当然で、「その時の社会の考えに合わせて、それを煽る」という思想で統一されていたから、戦前は(朝日)「アメリカのスポーツである野球は日本精神を破壊する」というキャンペーンを張り、戦後は「高校野球こそ青年の魂を鍛える」と変えた。

また(朝日)、戦前は「満州国建設で国際連盟を脱退するのは正しい」と主戦論を唱え、戦後は「慰安婦事件」、「南京虐殺事件」をでっちあげる。

日教組は子供たちに徹底的に劣等民族教育、日本は悪い国だと教えた。私の同級生たちはほとんどが「イギリスやフランスがアジアの国を占領するのは良いことだが、日本がアジアに進出したのは侵略戦争だ」、「ロシアやアメリカが遠く日本に来たのは良いことだが、日本が抵抗したのは悪い」と信じ込んでいる。

今では考えられないが、私の高等学校時代の「標準的な正しい若者の熱情」は「共産中国にわたって、共産主義の為に死ぬ」ということだったし、現実に中国に生徒を誘う人もいた。

もう一つはアメリカにわたって勉強して日本で成功するということで、誰も日本を信じてはいなかった。ちょうど安保闘争前後で、日本の知識人のほとんどが「ソ連賛美、アメリカとの軍事同盟反対」だった。やがて、日教組も左翼知識人もその過ちゆえに滅びていき、今では朝日新聞だけが残っている。

実は日本の学者に、「学問的中立性」、「学問への献身」はなく、「権力追従」、「空気重視」だったのは、今に始まった(原発事故で見られた御用学者)ことではなかったのである。このことが教育の中立がなくなり、左から右へと変遷し、さらにモンスターペアレントを産んだ。そして、マスコミが事実を重視せずに、御用学者が支える「空気報道」をするようになったきっかけとなったのである。

御用学者はその後も科学の分野に進出し、「リサイクルすればゴミは資源になる」、「リサイクルしなければ廃棄物貯蔵所が8年で満杯になる」、「ダイオキシンは猛毒だ」、「地球はCO2で温暖化する」などと環境面では大活躍をした。

私は近くで手口を見てきたが、なにかの政策を進める前に、東大の有力教授に10億円ぐらいの研究費を渡す。有力教授はそれを配下の貧乏教授に一人200万円(これを学会の隠語で「青虫」という)を渡して「リサイクルが有効である事の研究」をする。

しばらくすると政府が「リサイクル政策」を開始すると、新聞記者が大学の先生に聞きに行くけれど、すでに青虫が行き渡っているので、大半の先生が「リサイクルは大切です」という。そしてリサイクルが始まると「功績のあった先生」にはさらに研究費が行き、国民一人4000円の税金がリサイクルにまわり、4000億円のお金が天下り団体にいく。

マスコミはリサイクルで視聴率を稼ぎ、先生は研究費をもらい、業者は燃やすことがわかっている廃棄物をリサイクルすると言って収集して利ザヤを稼ぐ。国民以外はだれも困らないシステムができる。かくして御用学者が定着し、「国の政策を進める研究が「役に立つ研究」」ということになって、そこに研究費が集中する。

2014年のSTAP事件は御用学者、政策研究に研究費を出す、ノーベル賞学者やトップの役人を大学や研究機関に引っ張ってくる・・・という構図の中で生じたものであり、もちろん温暖化対策を世界で日本だけがやっているのも御用学者とNHKの共同作業があるからでもある。

(平成2693日)