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熱中症が社会的に注目された1994年から20年目を迎える。特に急激に多くなった2007年からでも7年になる。それでも年間1000人ぐらいの人が熱中症で亡くなるのは何故だろうか? 

感染症でもないので、予防はほぼ完全にできると考えられるからだ。たとえば、国民全部が夏に30℃以下のところで生活すれば熱中症はほぼゼロになるだろう。そんなことは不可能だという前に、まずは熱中症を根絶することができるかを考えてみたい。

まず、第一に「呼びかける方の論理矛盾」がある。人は慣性力があり、特に高齢者はそれまでの考えを容易には捨てることはできない。それを「悪い」と言っても意味がなく、「そういうものだ」と考えて実質的に有効な対策をとる必要がある。まず、為政者が矛盾しているのは、

1)これまで、CO2を減らせば温暖化を防ぐことができると言ってCO2を減らすのに庶民はずいぶん苦労してきたが、それでも暑くなってきた。このことについて説明がないので、何となく納得できない。
2
)つい最近まで「節電」を呼びかけ、「エアコンを我慢しよう」と言ってきたことが、今では言われないが、「言わなくなったからあれは嘘だった」と思う人は少ないので、「エアコンはつけずに我慢したほうがよい」と考えている高齢者が多い。実は私は5年ほど前、「暑い日にはエアコンをつけなければならない」と言って、ものすごいバッシングにあった。その頃、日本社会は「温暖化防止」に熱心だったので、「エアコンなどつけるとは何事だ」という感じだったし、テレビでは打ち水などを勧めていた時期に当たる。それからわずか数年だから、高齢者が考えを変えるには時間が短く、かつテレビなども「昔、こんなに暑くなるとは思っていなかったので、エアコンをつけずに節約などを訴えていましたが、予想が外れたので、昔のことは忘れてください。すみません」ぐらいは言った方がよいし、政府も「国民の協力をいただいてCO2の削減や節電を呼びかけてきましたが、何の役にも立ちませんでした。すみません」と謝る必要があるでしょう。 テレビや政府がそういえば、高齢者も心をさばくことができると思います。

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これは高齢者が現実に熱中症を避けようとしてどういう行動をとっているかという調査です。驚くべきことに、現在でも高齢者は日本の電力会社のことを案じて、1)薄着、風通し、団扇、扇風機をつかい、2)水分補給、をして、肝心のエアコンなどは我慢しているのです。自らの身を犠牲にして日本のためを思う高齢者と、自分の間違いを言うと損をするからと黙っている政府。

まさにずるい指導層に正直な国民。哀しいですね。

熱中症をなくすには、まず「年齢別の呼びかけ」です。学校やスポーツクラブには「熱中症を出すな。出したら10日間営業停止」ぐらいにするとすぐなくなります。また職場には労働安全基準局から厳しいお達しを出すと熱中症は無くなるでしょう。これで熱中症患者の3分の2、犠牲者の2分の1が減ります。この呼びかけはテレビがよいと思います。

次に、高齢者ですが、とにかくエアコンをつけることですから、市役所が個別に高齢者の自宅を回り、エアコンをつけるように指導し、かつ補助を出すということでしょう。最近では燃料電池自動車のように700万円のするものに300万円もの補助金を出していますが、補助金は命を救うほうに使ってほしいものです。

(平成26830日)