これまで平和運動をしてきた方に少し申し訳ないのですが、平和を求めるのはかなりむつかしく、「平和への思い」、「二度と戦争をしたくない」、「他国の戦争は関心がない」、「無防備でも日本は守れる」という観念だけではむつかしいし、また日本の人の大勢のコンセンサス(合意)が得られないのではないかと思います。
やはり平和を達成するのは、1)歴史的にみて容易ではない、2)すぐ戦争をしたがる人たちがいる、3)国土を侵略してくる国がある(昔は白人、今は中国)、4)この世には泥棒がいるのと同じく善人だけではない、5)日本も100年前は他国に攻め入った、6)あれほどの災厄をもたらすことがわかっているのに原爆を持ちたがる、などの現実を踏まえないと実際に平和を守ることはできません。
これまで、人間は戦争ばかりしてきましたし、今でも北朝鮮、中国、ウクライナ、イラク、パレスチナ、アフリカ諸国などで紛争が続いています。戦争を防ぎ、かつ国土を守るということはそれほど簡単ではないと覚悟を決める必要があります。さらにそれを「軍隊に頼らずに平和のもとで平和を守ろう」とするのですからよほどの考えと議論がいるのは仕方がないことです。
戦争にならないように事前に「抑止」するという手段で、現在の世界で認められているのは「核爆弾を保有する」という危なっかしい方法です。一見して矛盾するこの考え方は現実の世界の常識となっていて、アメリカは膨大な核兵器を持っているので、だれもアメリカを攻撃しようとしないということです。
これに対して、
1)核兵器に対する報復の権利を継続的に国際社会に主張する、
2)完全自動・専守防衛技術を作り、配備する、
3)自由貿易体制を進める、
4)アメリカ、東南アジア諸国との連帯を強める、
5)共同管理国土を創設する、
という5項目をこのシリーズの5番で書きました。
核兵器の報復権を国際的に繰り返し主張することによって、日本さえ核兵器を使わなければ他国は使いにくくなり、結果的に日本が核の使用を抑制することになります。このような具体的な言動をとったほうが、ただ原爆記念大会をするよりか国際的な意味が大きいと考えられます。
また完全自動、専守防衛システムを作り、それを各国に販売することによって、世界が「専守防衛能力」を手にすることができれば、軍拡競争もなくなるでしょう。多くの国は「侵略戦争用の武器」を手に入れることができますが、専守防衛用の武器やシステムはまだありません。開発も難しいので、これを日本ができれば、平和憲法の理念を具体的に世界へ発信できることになります。
自由貿易体制を積極的に作れる国は、産業や技術力が強いことです。特に平和の維持には資源技術が大切です。また、通商が盛んになれば相互依存が深まるのでおいそれと戦争はできなくなります。特に「技術力、資源技術力、経済力」を強くしておくことが大切で、日本はまず「機械・電器産業」の競争力を高める必要があり、それには「補助金行政」をやめることでしょう。
「補助金行政」は現在の日本のほとんどの会社が汚染されていますが、なぜ補助金に頼る必要があるかというと、世界的な競争力がなく、その分を補助金(税金)で埋めるわけですから、こんなことをしていたら、日本の産業は競争力を失います。でも補助金を出しておけば役人の天下り先を確保できるので、なかなかなくならないどころか増税になって、ますます補助金行政が増えています。
しかし、役人の天下り先を作るより、日本の経済力を上げることが大切ですから、天下りのための政策を控えて、日本のために政治家は働いてほしいものです。問題は農業ですが、これも農村票という政治問題で日本の農業はずいぶん後れを取りました。少子化も進み(よいこと)、人口密度も少しずつ減っていますし、工場も自動化が進んでそれほどの敷地を求めることもなくなってきました。さらにがけ崩れなどを防ぐために山を削って平野を作る必要もあり、総合的に日本の農業を再生していく必要があります。
また国際的な連帯は、本当は韓国、中国と連帯を深めたいのですが、なぜか反日の空気が強いので、当面はゆっくり説得していくこととして、アメリカ、東南アジアとの友好を深めていくことでしょう。また世界では、インド(第二次世界大戦後のいわゆる東京裁判(東京リンチ)で唯一、無罪判決を出した国。日本人の反日日本人より親日)、トルコ(日露戦争でロシアを倒したこと、和歌山沖でトルコ軍艦を助けたことで親日)、アルゼンチンやブラジル(歴史的に親日で、かつ移民も多く受け入れてくれた)などとの親交を特に深めていくことが大切です。
多くの国が日本を尊敬してくれるためには技術力が高いこと、恩義を忘れず礼節をたっとぶ民族であることが、私の海外経験でももっとも大切と思います。
技術力、産業力を背景に、高い文化を示して、世界の各国と融和を図っていくことによって平和活動で平和を保つことができますし、それをするうえで「過度に感情を優先させない」・・・つまり、平和に対する強い意志を持ちながら、決してそれを表面には出さない・・・ほうが平和への道は近くなると考えられます。
(平成26年7月15日)