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ここ数年、豪雨報道が目立つ。そのほとんどはテレビ局の無知によるもので、20146月の東京の豪雨?のように1時間雨量が50ミリに達していないのに、「記録的」という報道が続いたことで判る。

 

現実にはアンダーパスなどに乗用車が水没したりしたが、これは治水政策とか保守管理に問題がある。現在の日本の大都市は1時間50ミリの雨までは危険が発生しないようになっているので、20146月の雨の被害は人為的なものと考えられ、異常気象ではないことが明白である。

 

ただ、国土交通省は、実際に豪雨が増加しているという報告をしている(下図)。しかし、測候所の数が増えているので、この統計がどの程度の信頼性があるかは不明である。つまり現時点では「最近、豪雨が多いという報道があることは確かだが、報道がシッカリしたデータに基づいていないことは確か」という程度の段階である。

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国土交通省のこのデータが正しく豪雨の状態を示していると思うのは「役所が作ったものだから間違いない」というのが普通の見方だが、ここ20年ほど、役所が作る正式な報告書には明らかな工作が見られる。私の専門領域の一つである、環境関係では、数限りないほどインチキな役所の報告がある。

 

特に、「ツバルが沈んでいる」、「南極の氷が減っている」、「森林はCO2を吸収する」などいずれも荒唐無稽な誤報であるが、正式な役所の白書に掲載され、その一部は高等学校の教科書などにも採用されている。

 

目的(主として政策の推進、予算取り)のためには科学的なウソも良いという考えが日本社会に広く展開されていて、本来は政府のそのような工作を指摘する役割を持つマスコミも、むしろ政府の提灯持ちに終始している。この状態は海外の動きについての誤報を繰り返し、その結果、戦争に突入した状態と類似しているので、あまり安易に考えてはいけない。

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ここでは私の専門外の「男女共同参画を推進する役所が事実と正反対のグラフを出した」ことを指摘した東大准教授の例を取って、役所のグラフと東大准教授の正しいグラフを比較して掲載する。最初のグラフが役所のもので、「女性の労働力率(女性が働く)が増える」と子どもが増えるという関係を示していた。

 

ところがこのグラフは役所が出したい結論と違う結果になる国を除いていて、世界の先進国の統計をそのまま正しくグラフにすると、「女性の労働力率」が増えると「子どもの出生率が減る」というのが事実であった。

 

 

 

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結論は正反対で、データの取り方でこれほど違う結論になる。また、本来、社会の模範となるべき役所がこのようなインチキをすると、それに基づいて今回の番組のようにマスコミが政府の間違いをあまり検証せずに報道するので、そのまま日本社会に定着しがちである。 

 

このようなことがあるから、豪雨を強調すると予算が増える国土交通省のデータの整理はそのままでは信用できない。アメダスが増えていることによる見かけの豪雨の増加をそのままプロットしている可能性が高い。

 

また、現実の豪雨記録は、以下に示したように、1時間雨量で150ミリぐらいであり、100ミリ以上の豪雨はかなり頻繁に起こっている。しかし最近では1時間50ミリぐらいを「豪雨」と報道され、気象庁は猛烈なという表現をとるようになった。

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公表されるデータは同じ測候所でのデータに限定されているかが問題であり整理をした人の誠意がポイントとなる。つまり、「最近、多いか」ということはなかなか判らないが、少なくとも日本は台風や梅雨の終わりに1時間100ミリ程度の豪雨が毎年のように襲うのは確かである。このぐらいの豪雨の場合、川の氾濫、崖崩れ、都市の交通麻痺などが生じるが、これが「異常気象」によるものか、都市化や河川の護岸工事など国土に作り方自体に問題がある、「政治的」な問題の可能性がたかい。

 

つまり「異常気象」を強調する結果、国の最も重要な政策の一つである治水の政策が遅れているので、被害が大きいとも考えられる。

 

また1日雨量では、歴史的に諫早豪雨、長崎豪雨など、20年か30年に一度、周期的に来る豪雨(梅雨の終わりに東シナ海で発生する湿舌が西風や高気圧のへりを回って九州や中国地方を襲う現象)で有名であり、ほぼ11000ミリの規模である。記録を見ると次のようになっている。

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この記録は気象庁の記録で、長崎豪雨などで観測された1000ミリを超えるものは「正式測候所ではない」という理由で除かれている(これは特に科学的にも問題ではない)。また一日降水量の記録上位は20世紀の後半1968年から1988年までの20年間に4回、21世紀は4回で、統計上、一日豪雨が「最近、多いか」というとこれもまだこの統計の範囲ではハッキリしない。

 

東京の降雨量が増えているような報道もあるが、次のグラフでは昭和11年からの東京丸の内の降雨量の記録を示している。2時間雨量で65ミリが昭和10年台に記録されていて、1940年から1960年に一時、45ミリ程度に下がったが、最近はまた昭和の初めぐらいの数値になっている。

 

しかし全体から見ると東京の降水量が極端に増加しているということはない。

 

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注意を喚起するには「豪雨」と言えば良いのであり、1時間に140ミリより多く、1日に700ミリを超えるような場合に限って「記録的」と言うべきだろう。大げさにいったから災害が防ぐことができるわけではない。気象のデータは科学的なものだから、できるだけ正確に表現し、正しいデータを見続けることによって国民の気象に関する判断レベルが上がることが被害を少なくするためには、もっとも良い方法とおもう。

 

その点では現在のマスコミは自分たちの視聴率を気にして、国民に事実を伝えることより自らの利害を優先して大げさに伝えていると感じられる。

 

(平成26726日)