一口に「お役所」と言っても、気象庁などは学術的なところで、気象学に基づいて正確な情報を国民に伝える任務を持っている。その点でNHKと同じだが、NHKが「政府が右と言ったら右」という報道姿勢を明確にしているが、どうも気象庁も怪しい。というのは、気象庁の発表データの裏を科学的にとれないものが多いからだ。
ここに示すデータは読者の方の調査によるものだが、事実については私も調べている。「太平洋の水温が過去100年ぐらいの間に、変化したか」というもので、地球温暖化が進んでいるかどうかのもっとも大切なデータである。
太平洋の水温の記録は主として船舶から得られているが、海は熱容量が大きいので、海が暖かくなれば海沿いの地域の気温も上がる。だから、船から得られた太平洋の水温のデータが信頼に足るものかどうかは、沿岸の陸地の気温変化で裏をとることができる。
STAP事件でもそうだったが、学問は一つのデータだけでは信頼感がなく、関連するデータとの整合性が必要となる。それも先端的な学問の場合は「最初の測定データ」しかないことがあるが、気象データのようなものはあらゆる方面からデータを検討し、相互に矛盾がないときに確信を持ってそれをデータとして発表する。素人でなければ一つのデータだけを、他のデータと矛盾している状態で発表することはない。
まず、気象庁が発表している太平洋の気温の変化である。 過去100年あまりの間、単調に増加している。次に、太平洋を囲む陸地の気温(できるだけ広く沿岸部を選んである)を次に連続的に示す。 ハワイ、日本の南の香港、南鳥島、アンカレッジ、サンフランシスコの順に、グラフを示した。ブログに貼り付けるとなかなか見やすい順番にならないけれど、どのグラフもこの100年あまり、気温が変わっていないことがわかる。
おかしい?! 気象庁の技官は海水温のデータと、沿岸部の気温変化との関係が相互に矛盾していることを疑問に思わないのだろうか? 科学者というのは、「社会的にどうか」ということより「科学的にどうか」に興味があるものであり、社会に興味のある人、政治に関心のある人は科学者を止めた方が良い。
私は秘密会で検討しているIPCCのデータより、公開されている都市の気温の信憑性が高いと思うので、太平洋の水温が上がっているのに強い疑問を感じる。 それに加えて「理論」との整合性も大切で、太平洋の熱容量や大気と海水面の伝熱係数、海流の動き、海水面撹拌状況から言って、太平洋の海水温度が20世紀の初頭から同じようなペースで上昇する原因を見いだすことはできない。つまり、
1) IPCCの海水面温度は100年あまり上昇している、
2) 太平洋に面する各都市の気温の上昇はほぼ見られない、
3) 熱伝達などの理論からもIPCCのデータは不整合である。
となるので、科学者はその良心から、「太平洋の水温は一様に上昇している」と言うことはできないはずだ。気象庁のできるだけ早い詳細で誠意ある説明を求む。「美しい日本」を目指す日本人にとっては誠意こそもっとも大切である。
おそらく地球は温暖化していないで、太平洋の水温も上がっていない。つまりツバルなどの島が沈むはずもなく、南極の氷が溶けるはずもない。実に奇妙だ。しかしIPCCが「地球の気温は上がっているか」という科学の検討も「秘密会」で行っているのとは整合性がある。
(平成26年6月16日)