女性週刊誌は何のかんの言っても立派にその役割を果たしている。その「役割」とは、芸能人の個人生活、結婚と離婚、ゴシップなどで、一見して単なる興味のように思うけれど、家庭を中心とした人生を送る女性にとって、「人の状態」を知ることがもっとも大切でもあるから、この現象もあながち批判はできない。
それに比べて男性の雑誌、特に「月刊誌」と「週刊誌」の没落は目を覆うばかりだ。週刊誌の没落は週刊誌自身が「裸の女性の写真とゴシップ」に編集方針を切り替え、情報の提供を怠ったことによるが、もともと速報性としてはスマホとかネットの方が優れているので、週刊誌の没落はやむを得ないかも知れない。
月刊誌の没落は「日本の男女関係の変化」から起こる必然的なものだろう。
これまで女性の人生は、25歳まで2人の子どもを産み、50歳まで2人の子供を育て、50歳になるとお世話をした。現在でも女性の一生は基本的には変化していない。この人生に外の仕事や活動が加わったが、それは家電製品の発達によって家事育児の時間が極端に減少したことと深く関係している。
これに対して男性は25歳まで兵役(兵隊の訓練で1年半から2年で、女性が2人の子どもを産むときに損をする時間に対応している)、50歳までは戦争にでて死ぬことが主たる任務だったことが大きく変化した。男性はそれ以外に仕事をして日本国の生産量を維持するという役割があった。50歳以上の男性の生存の意味はまだはっきりしていない。
女が子供、男が戦争という区分は、子供を18歳まで育てるのが女、18歳になって子供が自分の生活ができるように土地を確保しておくのが男、という分担だった。戦争は「土地」を確保する活動であり、ほとんどの人が農業をやっていた頃の伝統でもあった。
ところが、戦争をしなくても国土を子どもに提供できるようになり、男は任務を失った。本当は、政治、経済、軍事などを男がやらなければ現在でも18歳に達した若者は職がなく、税金は高く、核廃棄物は残り、中国に沖縄を取られるというようなことが起こるのだが、戦争よりわかりにくいので、今のところ、気が付かれていない。
だから、女性の言動を見ると、「子どもは18歳まで育てればよい。18歳以後の人生など知ったことはない」と短絡的だ。私なら「私が18歳までは責任を持つから、あなたは18歳以後、この子供が人生を送るように社会を作っておいてね」と言う。
すでに現在の壮年の男性は、政治の話をするのを嫌う。「イクメン」などをしているのでもともと政治や経済に関心がないし、だいいち、話なれないから戸惑う。
かつて政治・経済を扱っていた男性向け月刊誌(世界、中央公論、文芸春秋など)はほぼ全滅の状態だ。私が話してみても40歳代の男性は、政治の話よりAKBを喜ぶ。これでは月刊誌が売れないということばかりではなく、日本の子供は未来を失うだろう。
この記事はある弁護士さんが不当な判決を受けた人を救おうと論文を寄せてきてくれたことがきっかけだった。すでにこの種の論文を出して、日本社会を正しくするチャンスはほとんどなくなった。ということは、女性が一所懸命、育てている子供が成人になったら不意に逮捕され、有罪になるということだ。
本当にそれが女性の望みだろうか? 日本はもともと男女同権だから、そんなことより真に大切なことを真正面から議論したいものだ。
(平成26年5月10日)