「k620140430906906.mp3」をダウンロード

 

コレステロールや中性脂肪についての厚労省の説明は実に傑作です。

 

「脂質異常症というのは、血液中の脂質、具体的にはコレステロールや中性脂肪(代表的なものはトリグリセリド)が、多過ぎる病気のことです。「血液の中にアブラなんかあるの?」って思うかな。だけど、血液中にはコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類の脂質がとけこんでいるんです。

 

 ところが、血液中の脂肪が異常に増えても、ふつうは、痛くもかゆくもないんです。だから、自分では全然気づかないし、「脂質異常症です」といわれても、それが何を意味するのかピンとこない人が多い。それで、そのまま放置してしまうんですね。」

 

とあり、さらに
「異常とされる基準値を上回る人は、男性では30代から50代にかけて増えて、50代ではおよそ2人に1人が、女性では50代から増え始め60代でおよそ3人に1人となっています(平成18年国民健康・栄養調査)。」
とあります。

 

奇妙ですね。医師が勝手に「異常とされる基準値」と言うのを決めて、男性の50歳代では2人に1人が「異常」と言われる。言われた方はキョトンとする(ピンとこない)と言っていますが、当然です。日本人の50歳代の男性はピンピンしていて、元気です。その半分が「異常」と言われても、「それ、薬を売りたいため?」とつい聞いてしまいます。

 

厚労省は同時に「70歳までは日本人は健康」と言っているのですから、「健康は異常」と言うことになってしまいます。中性脂肪は1000をこえればはっきりとした病気がありますが、それ以下の場合、一部のガンが増えるというデータがあることはありますが、健康との関係ははっきりしません。

 

もともと、脂肪についてはコレステロールでも中性脂肪でも奇妙な論理があります。それは「戦後、日本人の生活が欧米化して脂肪の摂取量が増えた。だから体内の脂肪関係が増えた。体重も増えたので、減らさなければ」というものです。このことは「欧米化すると健康や長寿に悪い影響がある」ということを前提にしていますが、なぜこのようなことが前提になるのでしょうか?

 

a3d8e9e0.png

 

次のグラフのように、戦後、一貫して日本人の男性の体重や脂肪量は増大しています。厚労省は「そのまま放置してしまう」と言っていますが、放置したほうが良いのではないかとも思います。

 

もし体重が増えたり、脂肪が増大したら健康に悪いなら、その結果が何らかのデータで出てきます。総合的な健康状態を示す最も良い指標が、平均寿命か健康寿命ですから、戦後一貫して体重や脂肪量が増えていて、それが「悪い」ことなら、平均寿命が下がっているはずです。

 

和田先生と言うお医者さんが「データ主義」と言っておられます。私も個人的に知っていて、立派なお医者さんですが、彼がそう言わなければならないほど、現代の医療の世界は、宗教のようにデータが無くても断定するということが多いのです。

 

57fe0999.jpg

 

もちろん、このグラフに示したように戦後の日本の男性の平均寿命は世界でも最も顕著に上がっています。だからデータから言えば肥満や脂肪量はあまり健康とは関係がないか、良いことと言うことになります。

 

また世界各国の平均寿命が延びていることから、栄養状態が良くなる方が健康には良いと見たほうが良いでしょう。平均寿命は医療体制にも関係がありますが、日本の場合、最近では70歳ぐらいまで、元気な人が増えたことは間違いありません。

 

人間の体は「一つの病気」だけに注目することはできません。栄養が良くなって小太りになると、若干、心臓系の病気が増える傾向があっても、それ以上にガンになりにくいなどのことあれば総合的に考えなければいけないからです。

 

いずれにしても中性脂肪は特殊な人以外はほとんど考えなくても良いとも言えます。中性脂肪が少し多いからと言って病気にするというのは何か別のことを考えているのではないかと思いますし、良心的なお医者さんとお話しすると「体が異常ならいけませんが、元気ならこのぐらいは」と言われます。

 

(平成26430日)