かくして1960年から始まった日本の年金制度は、その大半を厚生省などの食い物になって終わった。もちろん政府には「税金」とか「赤字国債」という奥の手があるから、「国民から借金して国民に年金を払う」ということができるから、国民は大損をするけれど、年金の全面的崩壊はない。ただ、自分のお金を取られて自分が年金をもらうだけだ。
だから、二度と再び、こんなことが起こらないように新しい年金システムを始めなければならないが、その前にしなければならないことがある。
それは「年金は使ってしまえという方針(故意)で公金を使い込んだ政治家、役人、専門家」にまずは「もらったお金を返還する手続き」をしなければならない。
天下りで1億円から3億円をもらった人は個人も特定できるから、返還を求める。返還できなければ「横領罪」で逮捕する。回収の見込みのない「公的団体」に資金を貸し付けて焦げ付くか、もしくは税金などで返済を求めた人については、「背任罪」で逮捕し、業務上で横領した国民のお金を返済させる。
専門家で、研究費や出張費をもらった人にも返還を求める。つまり、もともと「年金」というのはそれを積み立てた本人に渡しものだから、焦げ付いても、退職金としてもらっても、さらには研究費や海外出張費として使っても、すべて「不当な使途」であるから、お金は返還するべきだろう。
実際にこれを実施したら、高級官僚などの多くの人が破産するだろう。でも「国民のお金」を「私的に流用」すると「あとで返還を求められる」という例をこのようにはっきりしているときに一回、やったほうが良い。
AIJ投資顧問会社の訴訟の時に検察が裁判で、約250億円をだまし取ったとして、「年金資金の運用に苦労している基金を食い物えにした極めて悪質な犯行」とし、さらに「被害額は類を見ないほど大きく、『わが国の厚生年金基金制度を崩壊させた』といえるほど社会的影響は甚大」と糾弾した。
法の下の平等から言えば、250億円ほどのお金でこれほど激しい言葉を使うなら、90兆円に上る年金の使い込みと回収の見込みのないところへの年金保険庁の融資は、AIJどころではない。
しかも、国の場合は、年金課長が「使ってしまえ、天下り先には困らない」と明言しているのだから、「故意の使い込み」であることも明らかになっている。あとは、検察に「国の犯罪を糾弾する勇気」があるかということだけだ
あたらしい年金制度を発足させるためには二度とこのような公的なお金の横領が起こらないように、過去にさかのぼって返済を求め、罪を認める必要がある。
長い間、額に汗して税金を年金を収めてきた人にとっては、「公金を使い込んでも、回収不能なところに融資しても、その個人はお金をもらっても良い」という非常識なことができないようにしてほしいというのは普通の人の願いだろう。
(平成26年2月26日)