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NHKの経営委員の百田さんが都知事選挙である候補者の応援演説をしたとき、他の候補者を「人間のクズ」と言ったことが問題になっている。安倍首相は「そこまでコメントできない」という趣旨のことを言っているが、次の二つの理由で、このようなことを言ってはいけないことを百田さんに教える必要があると思う。

 

  1. 民主主義は個人の価値を大切にして、一人一人が意見が違うことを認めて、できるだけ冷静に議論を重ねることが、まずは第一である。特に選挙は民主主義でもっとも「神聖な議論の場」であることを知らなければならない。

  2. 民主主義のなかで議論するときには、相手の「主張」に対して「反論」を述べるものであり、相手の人格や生まれ育ち、肌の色などを批判してはいけない。今回のように「人間のクズ」と言っても、それが具体的に何を反論しているのかわからないので、民主主義では犯罪になる。

このように、東京都知事選挙で百田さんが他の候補を「人間のクズ」と言ったことは、表現の自由や言論の自由とはまったく関係なく、「公の場所での特定の個人に対する侮辱罪」に相当する。また、法律を超えた民主主義の倫理という意味では、「選挙中に聴衆を愚弄する行為」になる。

 

その後の報道を見ると、百田さんは「人間のクズ」と言ったことは正しいと思っておられるようなので、もう一度、民主主義とか議論、他人の意見に対する尊敬の念などを学校かどこかで勉強する必要があるだろう。

 

まして、NHKの経営委員などにはふさわしくない。現在のNHKがいかに奇妙なものに変質しているとはいえ、民主主義の基礎に反する考えの人が経営委員では受信料は払うことはできない。これはまったく「言論の自由」とは別種で、むしろ「言論の自由を脅かす発言」だからである。

 

また、選挙中だから「合意」を求めるのは無理だが、一般的な場合は、「議論の目的は反目を増加させるのではなく、合意を目指すもの」という本来の目的にも気を配らなければならない。

 

たとえば韓国がかなり激しい口調で日本を非難すると、どうしても「議論よりも感情」になってしまう。それを日本人は批判しているのではないか? でも「人間のクズ」と言う言い方は最近の韓国の発言の基調とかなり似ている。合意を目指す方向ではなく、感情的な反目になる。これもいけない。

 

もし、このような考えなら、NHKの経営委員を辞任する必要があるのは当然で、そのほかにも執筆活動や公の場所で発言する権利もないと思う。日本は歴史的にも誠実で、謙虚な民族であり、百田さんの発言は日本人の品位を汚すものなので、日本の歴史もすこしは勉強して欲しい。

 

日本は美しい国だ。百田さんのような発言をする人が増えると、自分の得になることなら、何でも言うという下品な民族や国家になり下がってしまう。百田さんはむしろ「美しい日本、品位の高い日本」を主張しておられるような気がするので、この際、一度、正直に心の中を話をして合意の方向に向かってほしいものだ。

 

(平成26219日)