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(TPPのシリーズを一つ飛ばしていました。順序が逆になりましたが、これが09です)

 

農業より医療やその他のソフト系(知的財産、制度など)の方がTPPの問題点としては大きい。たとえば医療だが、日本の医療は「国民皆保険」という特殊な制度で、かなり効率的に運営されている。

 

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この図で右の図はアメリカ、OECD(先進国平均)、日本の医療費を比較したものだが、日本人はがまん強いから医療費はそれほど上がっていない。それに対してアメリカは天井知らずに医療費があがり、医療を受けられない貧困層の問題が深刻になっている。

 

ところが日本でも諸外国に比べてよいというだけで、長い期間でみると医療の負担はかなり大きく年間30兆円から40兆円程度になり、近未来を考えるとGDP10%を超えることは間違いない。

 

国民は一般の税金で20%、医療費で10%をとられ、そのほかの電気代やらなんやらを考えると、収入の約半分近くが「徴収金」になってしまう。つまりTPPがあろうとなかろうと、あまり明るい未来は開かれていないということがわかる。

 

TPPで文句を言っているが、それではTPPがなかったら農業も医療もうまくいく方法があるのかというと「ない」というのが現状である。

 

日本でも高齢者が増え、一方では医療費のかかる高度医療が進むと、「あきらめてくれ」と言わないと日本も国民皆保険は維持できない。しかし高齢者に対して「あきらめてくれ」と言えるのかどうか、そこが問題だ。そうなると結局は「お金がある人には厚く治療する」ということで妥協せざるをえない可能性が高い。TPPを導入してもしなくても結果は同じかも知れない。

 

さらに、国境が低くなり、自由に投資が行われるようになると、国の制度を変えただけで個人の会社が大損害を受けることになる。たとえばアメリカ企業が日本に1000億円の投資をして仕事を始めたとする。ところが日本の国会がその企業にとって不利な制度に変えてその企業が大きな損害を出したらどうするかということだ。

 

もともと、その国に産業は普段から政治献金やロビー活動、人脈などを通じて自分の産業に有利になるように必死で活動する。しかしサービス業も含めて全産業が完全に自由化されると、各企業は全世界の国で宣伝活動、政治活動をしなければならない。それは現実的に無理がある。

 

そうすると、ある国の制度が変更され、その国に投資していた外国企業が損失を被ると裁判に訴えることになる。それがISD条項というもので、これが大問題になっている。

 

確かに、日本の制度を変えるのは日本に主権があるのだから勝手だが、それによって外国企業が被った被害を補てんしなければならない。だから事態は複雑になる。

 

ここがTPPの「肝」である。つまりモンゴル以来、外国との関係で少しでも自分の国が有利になるようにという原理原則で考え、さらに「平和に限る」とすると、ISD条項は必然的に出てくるものなのである。

 

「主権を持つ国が存在し」、「貿易が自由」ということになると「ISD条項は必要」ということになり、今のところ代案はない。つまり、
1)戦争はしたくない、
2)自由貿易で日本は繁栄してきた、
3)産業はソフト化した、
4)国は残すが産業はグローバル化させる、
ということになるとISD条項以外に今のところアイディアはない。修正案を出すとしたらその企業の母国の裁判所ではなく、「TPP貿易紛争裁判所」を国際的に作ることだろう。

 

だから私はTPPISD条項に反対なら、国境を下げて貿易を盛んにし、国家主権を守って投資会社に損害を与えないという制度や国際裁判所を提案してくれという。批判ばかりしているなら、「自由貿易はできない」といったほうがよい。

 

(平成25114日)