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10匹のメスのサカナと子供たちの群れが泳いでいる。そこに敵が現れるとメスと子供だから抵抗もできずに皆殺しとなる。それでは生きていけないので、10匹のメスのうちもっとも体の大きなメスがオスに性転換する。

 

サカナぐらいになると性転換は比較的、容易で、性器もでき筋肉も発達して立派なオスになる。オス1匹とメス9匹で平和に過ごしていたら敵がやってきた。今後は、オスが立ち向かい、その隙にメスは子供とともに岩陰に隠れる。

 

かくして魚の群れは壊滅せずにその生命を保つことができる。ところが戦いだから武運拙く敗れて死ぬことがある。そうすると残された9匹のメスはまた同じ運命をたどらざるを得ない。

 

そこで、残った9匹のメスのうち体が一番大きなメスがオスに性転換して群れを守る。かくして一夫一妻ではオス1匹とメス10匹ぐらいで群れを作って生きる。これが生物の一つの形なので、小学校の理科の副読本などにも乗っている。

 

ところで、一夫一妻の場合はどうだろうか? たとえばオオカミを例にとってみる。オオカミは結婚すると生活の基礎となるなわばりを作る。おおよそ10キロメートル四方で、その中で獲物をとり敵を撃退する。子供を産み育てるのがメスの仕事であり、オスは縄張りを確保し、食料をとり、そして敵を撃退する。

 

子供が成長してやがて娘は嫁いでいく。幸福な人生を送る娘もいれば、夫が敵との戦いに敗れて死ぬ場合もある。そうすると嫁いだ娘も同時に死ぬことになる。動物は命と体があるだけでは生きることができない。土地や食べ物が必要だからだが、それをメスが確保することはオオカミの場合はできない。

 

そこで、娘は親元に戻る。その時にもし両親が離婚していると娘は帰るところを失い、死ぬ。多くの生物では「命」と「生きる場所」が必要となる。一夫多妻ならボスオスが生きる場所を確保し、一夫一妻なら夫が生きる場所を確保する。人間なら国家や殿様ということになる。

 

オスとメスの両性で生活し子孫を残すという生物の一つに人間がいる。人間も昔は一夫一妻制だったり、一夫多妻制だったりしたが、その役割は生物と同じだった。ところが人間は「頭脳」があるので、必ずしも本能の命ずるままには生きることができない。

 

せっかく20歳の時に男女の数を同じくしているのに、結婚しない男女がいたり、結婚しても離婚する人もいる。これも人間が不完全な頭脳で本能を抑えているからだ。人間の次に現れる生物が、本能を頭脳で実現するようになるのか、それとも反対に本能がさらに低下して頭脳だけで行動するようになるのかは、今のところ不明である。

 

(平成251112日)