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第一次世界大戦でヨーロッパの国は痛い目にあったのに、まだ「自分だけは得をしよう」という不届きな心は消えなかった。今度は「植民地の獲得合戦」ではなく、「ブロック経済圏を作り有利にお金を儲ける」ということになった。

 

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イギリスがポンド・ブロック、アメリカがドル・ブロック、フランスを中心として金・ブロックができ、弱小ブロックがドイツと日本になった。第一次世界大戦が「植民地のある国とない国」の争いだったのに、ほぼそれと同じように「植民地のある国が広いブロック圏を持ち、植民地のない列強だったドイツや日本が割を食う」ということになった。

 

「俺だけが得をしたい」ということをすれば損をするほうに不満がたまるのは当然で、それが国民の不満を読んで戦争を引き起こす。それに加えてドイツは第一次世界大戦で負けた賠償金を払う必要があり、日本は有色人種では唯一の列強だったので、いじめにあった。

 

ついにドイツはナチスが登場し、日本はアメリカが石油の禁輸(経済制裁)を行ったので、第二次世界大戦になる。

 

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日本から見るとドイツはそれほど戦争をする必要がなかったように見えるが、狭いヨーロッパでイギリスやフランスが悠々とやっているのにドイツだけがヒーヒーと働いているということになると不満はたまるだろう。

 

日本はアメリカから徹底的にいじめられたので、戦争する以外に道がなくなった。現在でも、アメリカはイランや北朝鮮に対して経済制裁をして自分に有利な政策に変えようとしているが、他国に経済制裁を加えるのは極めて危険だ。

 

というのは、1940年ごろ、アメリカは日本に対する鉄鉱石やいろいろなものの輸出を制限したが、最後に石油の全面禁輸を行った。日本には石油がなく、石油がないと生活もままならないし、軍事力はゼロになる。当時は独立を保つためには軍事力が必要だったから、軍艦も航空機も動かせないというと、植民地にならざるを得ない。そんなことはできないので戦争に打って出た。

 

つまり「貿易の制限」というのはある程度発展した国では危険なのだ。貿易の制限を受ける国が原始的生活をしていれば貿易がなくなってもさほど問題はないが、昭和の日本のようにすでに発展した国にとってみれば、突如として石油を失うということになると国は滅びてしまう。

 

もともと日本に開国を迫り貿易を強制したのはアメリカ【ペリーの浦賀来航】であり、それに応じて近代国家に変わった日本に対して、「お前は発展しすぎている」という理屈で、次は石油を禁輸するなどということはイジメ以外の何物でもない。

 

でも戦争を始めるとそのすごさにアメリカも驚いた。ナポレオン時代の戦争と違って、ものすごい犠牲が伴うのだ。そこで、「これまでのやり方を基本的に変えよう」という動きが出てくる。その延長線上にTPPがある。

 

(平成25114日)