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アメリカはなぜTPPをやりたがるのか? その理由から始めたいと思う。

 

ある土地に住んでいるなら、その土地なりに食物がとれるのだから、その範囲で生きていけば良いようなものなのに、人間というのは強欲なもので、自分の力がついてくると現状では満足しなくなって他国をとろうと思う。

 

人間の歴史というのは600万年ぐらい前にさかのぼらなければならないが、現代人類(ホモサピエンス)は4万年から10万年ぐらい前に誕生して、ネアンデルタール人を駆逐して現在の繁栄に至っている。

 

でも、1万年前までは地球上のあちこちに小さい集団を作って、動物に襲われたり、天災で全滅したりしながら生きていた。まあ、「人間らしい生活」が出来るようになったのは、6000年前の4大文明からだろう。それでもある地域にはその地域の文明があり、その中で過ごしていた。

 

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この地図は少し見にくいが、13世紀にモンゴル帝国ができる前の世界地図で、もちろんアメリカ大陸やオーストラリア大陸は発見されず、アフリカには小さな部族しかい無かったので、「世界」と言えば「ユーラシア大陸」だけだった。

もとより、貿易に関係がないということでは、アフリカもアメリカ大陸にも多くの人が住んでいたが、17世紀ぐらいになるまで具体的に貿易や人の交流という点で省略できるという意味である。

 

西の端にヨーロッパ、アラブにイスラム、中央アジアにさまざまな民族、インドア大陸にインド、西に中国、そして海を隔てて「極東」の日本があった。中国やインドに比べると日本は少し小さいが、それでも独自の文化を持った比較的大きな国だった。特に「中国」という地域は「国」というものが無かったことを考えると日本はかなり違っていた。

 

いずれにしてもモンゴル帝国出現までは「世界」というのはきわめて限定的で、「地域」が合ったに過ぎない。それがモンゴル帝国の出現によってユーラシアはほぼ統一され、また最終的に占領されなかったヨーロッパ西部や日本を含めて「世界」を現実のこととして理解する事になった。

 

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このモンゴル帝国の版図を見ると、その当時の世界をほぼすべてモンゴル民族が支配したことが判る。 モンゴルはなぜ、こんな事をしたのだろうか? 中央アジアの高原は遊牧民にとってそれほど住みにくいところでもなく、少しぐらい国を大きくするのは良いとしてもここまで大きくなると往来の時間も考えると国の隅々まで統治することすら難しくなる。

 

でも、人間は時に馬鹿らしいことをしたがるもので、「衝動と妄想」で他国民を殺戮する。ローマ、アレキサンダーのマケドニア、オスマントルコなど歴史的に爆発した国は多いが、過度に膨張した理由はハッキリしない。

 

おそらくは慣性力だろう。物理学の教えるところによると、自然現象(人間社会も含む)は「動き始めるときのエネルギー」=「止めるエネルギー」だから、最初にチンギスハーンなどが巨大なエネルギーを持って始めたことは、その後の子どもたちには止めることができなかったと考えられる。

 

ともかく、モンゴル帝国は、マルコポーロの旅行、シルクロードの衰退と海上輸送の増加などモンゴル帝国以後は、「世界」と「海洋」が主体となった。その意味で「世界貿易の最初」とも言えるが、モンゴルがやったことは「TPPより簡単で激しい」方法で、貿易のような面倒なことをせずに、他人の国を自分のものにしてしまうという方法だった。

 

このような軍事力による他国の「消滅」時代から、次の「植民地時代」が続く。その延長線上にTPPがある。

 

(平成251027日)