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このシリーズは福島原発事故から2年半を経て、主として医療関係者や専門家を対象として整理したものだが、いまだに福島事故でで何が起こったのか、我々はまだ充分に知ることができない。

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たとえば3号機の爆発であるが、物理の知識から見ると水素爆発に核爆発が伴ったと考える方が自然であり、この映像の解析や内部の観察を要する.またすでに3号機の爆発で飛び散った砕片の分析が進んでいると考えられるので、そのデータが政治的な障害を受けずに学問として公表されることを期待している.

専門機関の日本原子力学会も、「汚染水を海に流しても良い」などという学問的にほとんど研究がない領域で政治的言動をくり返しているが、まずは学問の王道に立ち返り、爆発の解析などについて冷静な研究を継続することが望まれる.

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また、原発事故の直後に、主として東大教授がテレビで発言した重要な間違いについて、訂正をしておく必要がある。たとえば原発事故では「遠くに逃げる」のではなく、風向きに注意して風下に入らないようにする事などであり、まずは放送したテレビ局と東大教授が訂正番組を行う必要がある。

また、避難の場合に何が必要か、マスクはどうするのか、水の確保など多くの問題が残されている.消防関係者は「放射線被曝についてだけ消防は住民救助を行わない」という特例についての検討、医療関係者にとってはヨウ素剤の配布、避難する患者の受け入れ、それに被爆者の治療などの体制を整えなければならないが、2年を過ぎてもその議論は始まっていない.

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次に原発事故ではきわめて広範囲の汚染が発生する.それは原発というもの自体が広島原爆などと比較して膨大な量の放射性物質を抱えているからであり、汚染された土壌や環境を回復する研究も至急、行われる必要がある。

この点でも国立環境研究所をはじめとした研究機関の動きはかなり鈍い。放射線被曝については土壌が1平方メートルあたり4万ベクレルを超えるところは汚染した本人が除染する事になっているが、東電はまったく手を着けず、できない。

このことがすでに事実として目の前に示されているのだから、法律の専門家も含めて原発のような巨大な災害について建前ではなく、実質的に国民を守る方法を考えなければならない。消防もより高度な国民の防御について積極的な発言を期待したい。

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最後に現在の日本の原発を技術的に見ると、1)安全な原発を僻地に作っていること、2)核廃棄物の処理が宙に浮いていること、について原子力専門家や技術者の発言や研究が著しく遅れていることを指摘しなければならない。

この記事で中心的に考えた医師、学者、専門家などに課せられた任務は、「政治的社会的な動きに左右されることなく、専門家としての社会的責任を果たすこと」であり、このことが原発事故によってハッキリと不足していたことが判明した。

人生に目標を持ち、日々、夢と希望の中で生活していた多くの人の人生を狂わせ、苦痛のうちに過ごしていることを関係する専門家は自分の事として感じることを期待している.

(平成25109日)