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具体的な規制値については専門家が検討を重ね、各臓器ごとの感度やあらゆる事故などを加味して被曝限度を決め、それに基づいて政府が基準を示し、さらにそれに基づいて法令が定められる.それが日本の一般人で11ミリシーベルトである。

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ここでは通産大臣の原発に対する通達を示したが、通産大臣自体が線量限度を決めた訳ではなく、日本では内閣府が決め、それに基づいて通産省、文部省、厚生省などが具体的な法令の作成に当たっていた.当然であるが、一般人の被曝による健康障害は装置などによって変わるわけではないので、日本で法令によって基準が変わることはない。

事故後、混乱した一つの原因は、11ミリというのは「受け手(原子力を扱っていない人)」の限度だから、それを守るために求めるのは原子力関係機関であり、そこには11ミリが明示されず「11ミリを超える被曝をしないための、装置、設計、運転、管理などが求められる」ということがあったのではないかと思う。でも関係者はすべて知っている事でもある.

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人工的な発生源(たとえば原発)からの被曝が正当化の原理で11ミリと決まったのは、被曝によるガンのリスク、遺伝障害のリスクと電力供給の関係である。そして、それが決まると、その他のもの(自然、医療、核実験)と合計して、日本人一人あたりの1年の被曝量は平均して5ミリシーベルトになる.

これも原発事故以来、繰り返し専門家や自治体が発言してきたことだが、「自然放射線が1.5ミリなので、11ミリは厳しすぎる」と言われた.しかし、自然からの被曝と人工的被曝は「足し算」であり、並列に比較することはできない。

このような間違った論理を使えば、「自然からの被曝が1.5ミリだから、原発から1.5ミリ、研究所から1.5ミリ、食材から1.5ミリ、飲料水から1.5ミリ・・・」ということが成立し、本人の全体の被曝量を制限することができないからである.

また、医療被曝は日本は特に多いが、医療の被曝メリットが多いとされているからである. 先に述べたように「メリットがあればそれに応じて被曝が許される」ことから、医師への信頼性の強い日本では医師がCTやレントゲンを撮るといえば、医師は「被曝の損害より、病気を治す方を考えてくださった」と好意的に受け止めているからである。このような日本人の医師に対する信頼は医療にとってきわめて大切であり、それを損なうような発言が続いたことは残念であった。

(平成25103日)