「rekisidousurebatdyno.369-(14:40).mp3」をダウンロード

「普通の歴史」の山場は超えたので、くり返さなくても良いかも知れないが、満州国建国までは日本の行動はなんら問題がないが、北支問題から上海事変になり、日本が軍隊を引かなかったのが、「軍国日本」と言われるもとになった。一般的にも満州国建国で若干の意見が分かれるものの、それまでの日本の行動を批判する人は少ない。

そして戦争の本当の原因は「軍部の独走」でもなんでもなく、「日本人が戦争したかった」に尽きる。それは「朝日新聞の謀略」でもあった。最も戦争をしたがったのは軍部ではなく、朝日新聞だったが、戦後にそれを隠すために朝日新聞は「軍部の独走」という幻想を作り出した。

そうしなければ自らの責任を隠すことができないからだったし、それは日本国民自体が戦争を好んだことを隠すにも役に立った。

ところで、当時の中国は大きく分けて自由主義の中華民国と共産主義の人たちだったが、上海は中華民国の支配下にあった。まだ中国には、イギリス(中部)、フランス(南部)、アメリカ(鉄道など)、日本(遼東半島など)が権益を持っていたが、ソ連(ロシア)とドイツは日本と戦って負けたので、領土的な利権は持っていなかった。

中国国内は、南部の蒋介石(国民政府)、奥地の毛沢東(共産中国)、それに北部の張作霖など(軍閥)で三分割されていたが、軍閥は時代遅れでそのうち滅亡する運命にあった。だから、蒋介石の自由主義か、毛沢東の共産主義かという戦いだった。

蒋介石はそれを良く知っていて「日本は軽い皮膚病、共産軍は重い内臓病」と言っていた。戦後に蒋介石は毛沢東に敗れて台湾に敗走するが、その意味では日本と蒋介石、それにイギリス、アメリカ、フランスは同じ利害関係にあった。でも、そのことが判ってくるのは戦争が終わって、東西の冷戦が始まってからで、「しまった!敵を見誤った」とほぞをかんだ人が多い。

歴史は過ぎ去っていくものだから、「どうすれば良かった」という議論は難しいが、もし「日本が正しく行動していたら」と言っても良いし、「戦前の日本人は間違っていた」とか、「私たちの祖父は誤った選択をした」というなら、「何が正しかったのか?」に言及しなければならない。

清が滅亡して、清の皇帝が祖国の満州に帰り、満州国を建国したのだから、本来の中国(ベトナム以北、チベット以東、万里の長城以南)の地域を国民政府が支配するのがもっとも平和的だっただろう。そのためには、当時の中国の利権を持っていた、イギリス、アメリカ、フランス、日本の4カ国が話あって、中国から徐々に撤退し、蒋介石を応援し、全土の統一を促進するのが最も良かったと考えられる。

そのためには、「血を流す前」が良い。戦争で一端、血が流れるとその土地にはどうしても血を流した兵士の国が権限を持ってしまう。だから上海事変の前がチャンスだったのだ。

日本には4カ国をまとめる力がなかった。アメリカのルーズベルト大統領は中国に幻想を抱き、日本を嫌っていた。イギリスはかつての日英同盟時代の信頼感はなかった。フランスはインドシナの利権があったので日本とは相容れなかった。もちろん、イギリス、アメリカ、フランスはまったくやる気がなく、中国を狙っていた。

さらに根本的な原因を探ると、やはり黄色人種の国を占領していた白人(アーリア人)にとっては日本が黄色人種の国であることが最も大きな障害になった。植民地経営では少数の支配層が大多数の植民地人を抑えなければならないので、植民地人が自信を持ったらそれで終わりだ。

日本が強くなり、白人と対等ということになると、アジアの植民地人は自信を持つ。それを防ぐためにはどうしても日本を同列に扱えない、しかしアジアでは日本が一番、力が強いというジレンマを持っていた。

そこにコミンテルン(世界をすべて共産主義国家にするための国際組織)がつけ込み、中国でのゴタゴタ、田中上奏文と言われる偽造文書、アメリカ政府内部のスパイなどにすっかり翻弄されたというのが歴史的事実だった。

その意味で、当時の共通の敵は「コミンテルン」だったし、もっとも戦争を望んだのもコミンテルンだった。もともと「ソビエト」というのは国の名前ではなく、「評議会」という意味で、この当時は中国に「中華ソビエト政府」というのがあった。コミンテルンの計画では、日本ソビエト、アメリカソビエト、イギリスソビエトというのを順次作っていって、世界中を共産国家にするのが目的だった。

日本はコミンテルンの計画に乗せられて戦争に走ったが、もし戦争をせずにイギリス、フランス、アメリカ、そして日本が徐々に中国から撤退し、平和裏に中国に国民政府ができたら、それでアジアは安定しただろう。

戦争はなかったが、その代わりに、朝鮮は日本で、インドネシア、フィリピン、インドシナ、ミャンマー、インドなどはヨーロッパの植民地のままだっただろう。それぞれの国が独立するためには、日本が戦争で流した血の何倍もの血が必要だったと考えられる。

歴史は間違っていて、かつ正しい。

(平成2593日)