ヨーロッパが国家が多いのに、通貨が一つのままということで、「当然、ダメになる.ユーロは崩壊する」と言われますが、本当にそうでしょうか?もともとユーロを共通通貨にするときに、それはわからなかったのでしょうか?
今、ギリシャが危機に陥っています.これはギリシャは経済的にあまり良くないのに、ドイツ並みの給料などで生活していたということによります。自分の収入では足りないので、国債を発行して他の国から60%ものお金を入れて借金生活をしていたのです.
それに加えて普通は「国はウソをつかない」と思われていますが、ギリシャは国が破綻していることを隠していたのです.いわば粉飾決済ですね.
ギリシャ危機やキプロス危機というのは、簡単に言うと、南の国があまり働かずに借金をして良い生活をしていたけれど、借金生活が破綻したということですから、それほど難しい問題ではありません。
そして、ギリシャの支援にはおよそ1300億ユーロ、キプロスには100億ユーロ程度がまずは必要と言うことになっています. これに対してドイツのGDPは2兆5000億ユーロ程度ですから、ギリシャやキプロスの支援総額はもしドイツが全部、かぶったとしてもわずか5%程度にしかなりません.
逆に、ドイツは経済が好調で輸出競争力があっても、ギリシャやイタリアがユーロを弱くしてくれるので、輸出は強く2011年の成長率は3%と先進国ではアメリカの1.7%、イギリスの0.7%、そして日本のマイナス0.7%と比べてダントツです。
もしドイツと日本が同じような経済構造を持っているとすると、日本が経済が好調なら円高になって不景気になり、ドイツはユーロ安になってさらに良くなるとすると、その差は2011年では4%近くなり、ギリシャへの支援など消し飛んでしまうのです.
さらにドイツは統一した後、まるでギリシャのように不能率な東ドイツを抱え、そうはいっても同じ国民ですから賃金差もあまり付けられない中で、大きな負担を強いられて来ました。
それに比べると、ギリシャが貧乏になれば南の国の労働者がドイツに入ってきて低賃金で働いてくれることになるので、ドイツは「輸出をしてもユーロ高にならず、景気が良くても安い労働力がある」という実に「奇妙な状態」になるのです。
これがドイツがマルクを捨ててユーロになったという基本的な理由では無いかと考えられます. 日本のマスコミは一面的な解説しかしませんから「ヨーロッパは大変だ.だって、国家主権が別々なのに、通貨が一つなど無理がある」と言っていますが、ヨーロッパの人はそれほど単純では無いということです。
ユーロ危機と言われる中で昨年は円ユーロが100円を切っていたのに、今では120円を超える水準です. ドルユーロも周期的な変動はしていますが、1.3ぐらいで落ちつく気配でもあります。
経済学の専門家のご意見を詳しく勉強してみると、ユーロがダメという人と、ヨーロッパにとっては良い方法だという人がいて、これも経済学ではまだ解明できないテーマであることがわかります。
つまりユーロの市場価格しかユーロの将来はわからないということですから、現在の日本の社会の空気(国家の主権と通貨の共用はダメ)ということをあまり単純に決められないということです。(決めない方が良いし、決めるだけの根拠が無いということです。)
(平成25年4月14日)