「gensiryoku_jigoshori01tdyno.153-(7:14).mp3」をダウンロード

事故がどのぐらいの確率で起こるか、そしてそれはどのぐらいの大きさかというのはきわめて重要な事です。それがないと何に備えるのか、どのような非常用設備がいるかなども考える事ができないからです.

 どのような事故がどのぐらいの頻度で起こることが想定されていたかというと、「10万年に1度ぐらい、原子炉が破壊され、その外側の格納容器も損傷して、大量の放射性物質が外界に出る」という想定でした。

 10万年に1度なら1年に1ミリの被曝限度を、1年5ミリから10ミリまで増やすことができ、100万年に1度ぐらいなら1年100ミリまでOKということになっていました。

 事故の間隔が開くと、集団で被曝して遺伝子に損傷が起きても、それを修復する時間があるという考え方で、事故の間隔が開くほど許容線量が高くなるという理屈を使っています.

 いずれにしても、被曝できる線量限度は普通なら1年1ミリシーベルトに決まっており、それが他の規制値になるなど考えられないと思います.

 しかし、そのこと自体は教育関係者としては国の方針とは無関係に11ミリという法令の規定を守るべく努力をする必要があったでしょう。文部科学大臣が2011年に福島の小中学校の児童生徒に120ミリという新基準を示しました.これは日本の法令には関係がなく、ICRPという国際NPO(任意団体)が出した意見です.

 確かにICRPはなかなか権威のある団体で、任意団体とは言え、これまでも日本の規制はICRPの勧告に基づいて議論を重ね、国内規制を決めてきました.だから、福島原発事故を受けて、改めてICRPの勧告を聞くことはあり得るでしょう.

 でも、これまでもICRPの勧告通りに国内法を決定したというわけではありません.どちらかというとICRPの規制が厳しいので、国内は少しそれを緩めるという方向ではありました。日本は法治国家なので、国際的に勧告を受けても必ずそれを国内の委員会で議論し、日本の特長も活かして国内法の規制を決めるのが慣行でした.

 従って、今回、ICRPの勧告をそのまま日本政府が受け入れて、その理由としてICRPの勧告があったからと言うのは、いかに民主党政権であったとしても日本という国の独立性を犯す物だったと思います.

 この勧告を教育関係者がそのまま受け入れたのも驚きでした.現実的には教育委員会や校長先生が自らの評判や出世、叙勲などを考えて子どもの被曝を無視したということなのでしょうけれど、余りに見事な変身ぶりに著者はビックリしました。

 120ミリと言うと、胸のレントゲン(10.05ミリ)と比較すると1年に400回の受診に相当します.これまで結核の予防検診について、「肺がんや白血病の発生が危惧される」として教育関係では小学校で6年で6回の被曝を避けてきました。

 つまり、11回の被曝も肺がんの可能性があるということで忌避してきた教育委員会や校長先生が文科省大臣の指示ということで、簡単に120ミリ(旨のレントゲン1400回)を受け入れたという事実は、教育委員会や校長先生がまったく児童生徒の健康について自分自身の判断を持っていないということを赤裸々に示したに他なりません.

 20134月から、東北地方から穫れる食材を学校の給食に使用した場合、補助金が給付される予定という記事が福島の新聞に出ました。

 この政策について学校側では対応に苦慮しているところもあります。まず、児童生徒の健康よりお金という選択をすれば簡単で、「国の政策だから」という理由で汚染されている可能性のある食材を給食に使うことになるでしょう.

 原発事故が起こって依頼、給食がもっとも汚染されていた可能性があるのですが、それは「児童生徒が農家ほど圧力をかけてこない」というのがもっとも大きな原因であったと思います。この給食の食材の問題も児童生徒の希望を聞くことができず、保護者の希望は無視しうるということもあると思います。

 反対に、これまでも1ベクレルでも汚染されていたら給食に出さないという考えで運営していた市町村は困っています。まず第一に測定値のついていない食材が増えてきたことがあります。これも政府の方針にそったもので、この裏には農家のほうから「測定しなければベクレルはでないのだから、測定しなければよい」という無理な圧力が常にかかっていることもあります。

 インフルエンザや赤痢菌と異なり、法律の規制や食品委員会の勧告があるにも関わらず、かなりの数の医師が「大丈夫」を連発したこともあって、教育界もある意味では当然のことでも難しい選択を迫られるようです。

大型客船を就航させても救命ボートを備えていないようなものだと私は指摘してきましたが、原発に近い学校は、原発の事故に備えて子どもたちを被曝させない方法、疎開授業、給食の準備、考え方などあらゆることの準備が必要です。これに対して原子力関係者は協力をしなければならないでしょう.

現在、再開が検討されている原発は「古くなっていなければ」とか「断層がなければ」などと原発の安全性を保つことのごく一部しか検討していません.原子力規制庁の力不足は相当なものです。

(平成25414日)