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仕事の関係で頻繁にアメリカに行っていたのは、私の30歳代でしたが、地方の都市に行くと景色も美しく、人情味もあって良いのですが、ニューヨークは町全体が汚れて汚く、外出すればどこで襲われるかわからないという状態でした。

でも、しばらくして・・・ニューヨークを訪れると大きく変わったことにビックリしたものでした。空港からすでに様子が違い、タクシーも綺麗で愛想が良く、町も整然として、かつてのあのスラムのようなニューヨークが一変していたのです。

これこそ有名なジュリアーニ市長がやったクリーン作戦の成果でした。警官5000人を動員して、「割れた窓(ブロークン・ウィンドウズ)」や「落書き」などの「軽犯罪」を徹底的に取り締まり、その結果、殺人68%減、強盗54%減、そして婦女暴行27%減となったのです。

このような現象は社会学、心理学では有名で多くの事例もあります。たとえば同じアメリカのサンフランシスコで数軒の空き家にヒッピーが住み着いて荒れ放題になっていたのを放置していたら、美しい町が瞬く間に汚くなったという例を心理学者の植木先生が「本当にわかる心理学」(日本実業出版社)で紹介されています。

国が安定し、国民が幸福になるためには、為政者(偉い人)の人格が高く、誠実な社会であることが大切なのは、繰り返し言われています。その中でも最も大切なのは、政治家が「言ったことに責任を持つ」と言うことですし、学者が「自分の学問に忠実に行動する」ということなどがあります。

ヒッピーのたまり場さえ社会に大きな影響を与えるのですから、政治家や学者の言動が社会を良くもするし悪くもするのは当然です。その意味で、民主党政権の公約違反や、東北大震災から原発爆発の御用学者の出現、それにそれまで「被曝は防ぐべきだ」と言っていた専門家、マスコミが一斉に「被曝は健康に良い」とまで言うようになった日本社会は危機に瀕していると思います。

私は科学者ですから、非科学的なことがこれほど身の回りに多いと、あれた家、落書きのある壁、ゴミだらけの道路の中で生活しているような気分になります。「物」として見えるわけではありませんが、「心」では強く感じます。

それに加えて日本社会の強い「横並び意識」・・・これも心理学ではモデリングと言いますが・・・「赤信号、みんなで渡れば怖くない」ということが働いていますので、「幼児化現象」とも言えます。自分自身にしっかりした考えが無く、他人の言動を反射的にまねる行動で、これは社会を構成している大人の成熟度を示しています。

いずれにしても、かつて防衛庁次官が収賄などで逮捕されたとき、大学生への教育が一気にしにくくなった事を思い出しますが、民主党の消滅、原子力の中断、なんでもお金を最上位にする社会風土の撲滅が日本を愛する人たちの共通認識になる必要があると思います。

(平成25110日)