なぜ、増税になったかということを国家規模で考えることを先日、行い、それを(マクロ)としました.今回は、(ミクロ)、つまり私たちの生活の行動や考え方が増税につながっていないかを考えてみます。
先日、NHKを見ていましたたら、エレベータの安全について、次のように報道していました。
「マンションなどのエレベータで安全に問題のあるものがあり、それを住民が240万円(おおよそ)、国が120万円を補助している例は良いのだが、国の予算が足りない。今後、国の予算を増やすべきだ」(趣旨はこの通り)
ミクロ的に増税の原因となるのは、この場合のように「本来は個人が払うべきものに、税金を使う」ということにあります。私たちが2009年の民主党の公約にダマされたのも、「自分だけ得したい」ということで「そのお金がどこから出るか」について乞食的な醜い感情が支配したからです。
マンションも値段を高くすれば、耐震性も快適さも、エレベータも何から何まで万全を尽くせます。でも、余り高いと売れないので、まあまあのところで妥協し、家を買う方も「このぐらいで仕方が無いな」と思って買います。
私の知っているマンションでは月の家賃が230万円で、エレベータが一つ一つの家に一つずつついています。その結果、エレベータの中で襲われるということはまったくありません。でも、その分だけは家賃が高くなるのは仕方が無いことです。
あるマンションのエレベータの安全対策に国が税金を出すというのはどういうことでしょうか? 税金というのは空から降ってきたり、鳩山元首相のお母さんが出してくれるものではなく、簡単に言えば「そのエレベータに関係の無いお隣さんが、見ず知らずの自分に払ってくれる」ということですから、厳密に言えば「乞食行為」です。
私は健全な日本、善良な日本を取り戻すためには、「真理と正義を愛する」ことや「額に汗して働いた分だけで生活する」、「家族を大切にする」などと思っています。このような見地から言うと、公共的なものは別にして「個人や特定の団体だけがメリットを得るようなところに税金を使うべきではない。税金はあくまでもその恩恵を平等に得るようにしなければならない」と思っています。
高等学校無料化もあまり感心しませんが、実質的に高等学校の進学率が100%に近いので、税金の投入も良いかも知れませんが、100%の進学率なら個人が払うのと、税金で支払うのは実質的に同じです。「自分のすることは自分で」とう原則から見るとやや疑問です。
また高校に進学すると言っても、私立学校もあります。私立学校には税金の投入が少ないのですが、これも理論的な背景はあまりハッキリしません。
まして進学率が50%ぐらいの大学の授業料を全額税金で払うには抵抗があるでしょう。大学に進学するのは自由意思であり、自分の意思で進学するなら、最大限の補助として「奨学金」制度でまかなうべきと思うからです。
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ある人は「学問が大切」と思うでしょうが、東大教授があのように人格劣悪な事を見ても、学問が本当に大切かどうかは不明ですので、そんなものに税金を使うのには反対の人も多いと思います。
また、安全と言っても、公共の道路などの安全にお金を投じるのは良いとしても、個別のマンションに出すのは行きすぎのように思います。さらに、CO2を減らすといってエコポイントなども出しましたが、これも「エコポイントで結果的にはCO2が増えた」と総務省から警告を受けています。
それに、企業が売り上げを増やそうと政府に働きかけて、エコポイントのような補助制度を作るのは税金の公平な使用にも問題がありますし、企業努力を「税金で補填する」ことになりますので、企業の国際競争力を落とします。パナソニックやシャープなどの日本を代表する電気会社が赤字になったのも、このような甘い体制や家電リサイクルのように虚偽の書類を必要とするものに踏みこんだのも一因と考えられます。
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NHKがこのような放送をしたのは、NHKが受信料で運営されているからと考えられます。「努力してもしなくても、お金をもらえる」という環境のもとで人間の魂が正常な状態を保つことができないのは、すでに共産主義の失敗で経験済みです。
これは景気の波が来るのを肯定的に捕らえる考え方でも言われる一般的な事ですが、景気が良いときには若干問題なところもそのままにされるのですが、景気が悪くなると、問題点は一掃され、さらに強い企業ができると言われています.
このような原動力がNHKには働きませんし、NHKの審査などをするところは御用的な審査(NHKに批判的な人は除いて委員会を開く)ですから、これもNHKのためにはなりません。
だから、「エレベータに国がお金を出すのが正しい」という放送になるのですが、NHKの受信料を払うのに苦労している人がいて、その人は民放を見ても生活に困らないという現実に目を背けているからです.
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2012年に「お金が足りないから増税」と言うことになった一つの要因は、日本人が「額に汗して」という考えから「他人のお金をもらえれば」というNHK的考え方になってきたことにもよります。
この社会で「良いと思うこと」というのはいくらでもあり、「良いことだから税金を使う」という思想では税金は無限に増えるでしょう.この問題の根底には「ピンハネ」する人が指導層に多くなったということ、ピンハネ社会を象徴しているように思います。
(平成24年12月25日)