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温暖化に関する国際会議が開催されて日本のマスコミは、再び「取り返しのできないことになるので、温暖化阻止を進めるべき」との論調を貼っている。日本経済新聞も経済界の人が参考にするのだから、「事実」が大切なのに、不思議なことに社説で激しく「取り返しがつかない」と主張している。

日本経済新聞は「頭の回転が鈍いのか、それとも悪意なのか」と疑ってしまった。すでにNHKは温暖化について「ヤラセ番組(ウソとわかっているものを繰り返し報道したり、放送すること)」が多かったので「悪意」であることは間違いないが、日本経済新聞はこれまである程度は誠意のある新聞だったので、もしかしたら頭の回転が悪いのかも知れない。

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放送法はその第3条で厳しく中立的内容を求めているが、新聞はある程度、自由である。しかし、虚偽と考えられることを報道するのは倫理的に不適切だ。

CO2による温暖化は取り返しのつかない損害を与えるので、直ちに厳しい対策を講じなければならない」という主張について、強い疑問がすでに投げかけられている。その内容は科学的なものと、国際的なものがある。

1) 温暖化の被害として、「南極の氷が融けて海水面が上がりツバルが沈む」を主力にしてきたが、それが今はすっかり影を潜めた。IPCC(国連の地球温暖化パネル)ですら、正反対の報告書を出しているので、この根拠は何か。また最近、言及しなくなった理由は何か?

2) 京都議定書からすでに15年。アメリカ、中国、ロシアの三国がCO2を削減していないのに、なぜ「緊急の課題」なのか、国際社会の中でなぜ日本だけがCO2削減の経済的損失を受けなければならないのか解説がない、

3) 諸外国と比較して日本の被害はほとんどなく(国連では報告もされていない)、北海道の冬だけが温度が上がるだけで、なぜ日本が頑張らなければならないのか?

これまで新聞やNHKが温暖化について報道をしてこなかったのなら別だが、多くの報道をしてきて、それらの報道と1)から3)の事実が大きな矛盾を生じているのに、それについてまったく言及せずに同じ論を主張するのは実に誠実さに欠ける。

加えて、今後の寒冷化が懸念されているのだから、「温暖化阻止」が「安全な方向」でもない。一般的に温暖化より寒冷化が経済にも生活にも厳しいのは歴史の示すことだ。

温暖化に関する科学的意見が科学者の間で別れていることは確かだが、その中で誠実な報道をすることはできる。その意味では、未だに「温暖化の被害の使い捨て」を行い、「世界情勢に言及せず」、さらに「日本と外国の被害」の比較すらしない報道姿勢は、そろそろ「よほど頭の回転が鈍い」か「悪意か」のいずれかに分類しなければならないだろう。

おそらくは、「政府の方針に無批判に従っている」のか、それとも「政府が作り出した空気的事実を蔓延させるのが新聞の役割と思っているのか」のどちらかだろう。

またかつて、2006年4月30日にNHKはクローズアップ現代で、ヤラセ番組「煙と金と沈む島」(沈み行くツバルという事実ではないことが内容)を報道した。この説明をNHKはしておく必要がある。それが「誠意ある報道機関」の倫理である。

(平成241212日)