「tdyno.336-(10:40).mp3」をダウンロード

「哲学」は愚劣で醜い学問であり、「物理」は美しい学問である、というと哲学の人はカッときて怒り出す.そこで「あれ、そんなことで腹が立つなら、あなたの哲学って大したことはないですね」と冷やかす.ちょっと批判されたぐらいで、相手の言うことも十分に聞かないで腹を立てるというのは「学問を学んでない人」だと哲学者は言っているのだから。

実は、この問いには深い意味がある。人間は「生物」の一種であり、生物のDNAは「自己保存、種族保存」が完璧に行われるようにできている.それは実に巧みで、一見して自己犠牲に見えたり、矛盾しているように感じられても、人間の思考が及ばぬ所に「種族保存、自己保存」の狙いが潜んでいる.

「哲学」は「理性」で論理を構築し、結論を出す.だから、科学的には「自分の頭が正しいと考える事は、種族防御・自己防御の範囲内を出ることができない」という原理原則を克服することができないからだ。

そしてこの自己撞着を哲学が克服しうるかについては若干の研究はあるものの、真剣な考察はわずかしかない。多くの哲学者はうっかり哲学(政治学、法学、倫理学など)の道に入ったので、自己を防御したいという自己保存の殻に閉じこもっている。

・・・・・・・・・

たとえば、野田首相が「増税は絶対にしない」と公約して当選し(当選したかったから)、首相になったら「増税に命をかける」(財務省に言い顔をしたいから)というほどハッキリと矛盾していても、「哲学的にはいいわけができる」ということになるが、それはこの二つの相反する言動が「自己を守る」という点で、合理的だからである。

また、「国民が良いと思うような公約(減税、ムダを減らす、子ども手当、高校無料化、高速道路無料化、コンクリートから人へ、CO2削減、普天間基地の県外移転)を掲げ、その結果(増税、予算100兆円超え、子ども手当支給せず扶養控除を無くす、ごく一部の高速道路をある時期に無料化、コンクリートも人も無し、CO2増加、普天間基地はそのまま)という状態」でも政権に留まることができ、かつ日本の哲学的な論壇(政治学、倫理学など)は異議を申し立てず、かえって報道も参加して、「単純な正しさ」を批判する人たちに攻撃の矛先を向けたりしている。

・・・・・・・・・

もう一つは、「現代文明は悪だ」という哲学的考え方もある。でも「現代文明」というのは、地球上の人が「少しでも良かれ」と考えて作り出した結果であり、それが「悪」ということになると、「地球上の人の全員が選択してきた結果より、哲学者一人が「良い」と思うことの方が上位にある」ということになる。

もし、仮に現代文明が悪ならそれは「情報が正しく伝わって居ない」などの特殊な状態を仮定しなければならない。

アメリカの正義、サンデルの正義は詭弁の中で成立する。1988623日にアメリカ上院で始めて「地球温暖化は恐ろしい。直ちに世界各国は協調してCO2の削減をしなければならない」と訴えたアメリカは、一度もCO2を削減せず、日本のように「詭弁の哲学」をもっていない国がその犠牲になる。

また最近、アメリカが支配する世界銀行が「温暖化が怖い」というレポートを出し、本人がCO2を削減しているのを知っている日本の知識人は、これを哲学的に処理して「さらにCO2の削減が必要である」と言い出した。

日本が品性が高く、政治家が誠実みをもち、専門家が自らの名誉やお金より職業としての倫理を重んじるようになれば、アメリカ的詭弁、哲学的八百代言が影を潜め、自然や現実に根ざした日本的で上品な社会を取り戻すことができるように思う。そうするといとも簡単に野田首相、地球温暖化、サンデルの正義などに潜む欺瞞性をすべての人が感じることができるだろう。

それを妨げているのは、何もしない(農業、工業)でピンハネで巨万の富と権力を手にしてきた東京であり、これを解体するのが日本の繁栄と幸福で充実した人生の実現に必須のことだろう。

(平成241129日)