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ある有名雑誌に「私は被曝限度を審議した委員の1人だ」という高名な医師が「11ミリというのは管理基準であって、被曝限度ではない」と発言したとあった。発行部数の多い雑誌なので、間違いを指摘しておく。

国際的な協定や概念
1)1992年の予防原則で「重大あるいは取り返しのつかない損害が起こる場合は、科学的確実性を求めてはいけない」としており、日本はこれに参加している。
2)国際放射線防護では、被曝は健康を害するという概念のもとで三段階の被曝レベルを定めている、
3)第一段階は「免除レベル」というもので、国際的には「受け入れできる線量(acceptable)」とされ、日本では10.02ミリシーベルトとなっている。
4)第二段階は「線量限度」というもので、国際的には限度以上は「社会的に耐えられない線量(unacceptable)」とされていて、日本では11ミリシーベルトとされている。
5)第三段階は、事故時の被曝限度で、これは事故の頻度によっておよそ3段階に分かれている。
6)「受け入れできる線量」を超える被曝をする場合、国民はそれに見合う「利益」を求めることができ、この原理を「正当化の原理」とされていて国際的に合意されている。

これらの国際的な概念に基づいて、日本では「クリアランス・レベル」として10.02ミリシーベルトが定められ、違反すると懲役1年以下の罰金に処せられる。(瓦礫の搬出など)

 

公衆の被曝限度(11ミリ)については、たとえば経産大臣から通達を受けて、法令、規則などの審議が行われ、具体的な「管理基準」が定められる。その一つの通達を示した。

今回の雑誌の記事は、ここをついたもので、一般公衆は放射性物質を扱わないので、管理基準は関係が無い。管理基準が必要なのは放射性物質を取り扱う人や機関だから、「一般公衆が11ミリ以上の被曝をしないように設計基準、原子力発電所境界の線量、放射性物質の取り扱い基準、研究所などの管理区域基準などが定められている」ということである。

つまり「一般公衆に11ミリ以上の被曝をさせてはいけない」という法令を作っても、「それならどうしたら良いの」というのが分からないし、何か危険なことをしてもそれが11ミリを超える被曝になるかどうかが分からないので、「管理基準」として、取り扱う放射性物質の量、管理区域とする空間線量、土壌汚染基準、排気・排ガス基準、測定基準などの基準が決まっていて、放射性物質を取り扱う人がそれを守れば、一般公衆は11ミリ(外部+内部)を守ることが出来るようになっている。

交通規則でもなんでもそうだが、「被害を受ける方」の法令や罰則はない。「被害を与える方」の基準や罰則があるだけである。「法令の審議に入る時に一般公衆の被曝限度を11ミリとして法令を作っただけで、法令には明記していない。だから、11ミリを守る必要は無い」というのはまったくの詭弁であることがわかる。

雑誌社の責任はないだろうが、11ミリ以上被曝して健康を害する人がでたら、11ミリを超える被曝が大丈夫だと言った人は、イタリアの地震の例があるように「禁固刑」などに書する必要があるだろう。

(平成241024日)