2012年月28日、瀬戸内海で「海が綺麗になり、サカナが捕れなくなった」というニュースが報じられました。ここ20年間の日本の環境対策は、「環境や自然」ということをよく考えない、いわば「非科学的政策」が続いています。
それにマスコミに登場する「よい子学者」が日本人の人の良いところに訴えるということが加わっています。つまり簡単に言うと「自然が大切といいながら、自然を食いものにしている」とも言えるのです。そこで簡単ですが、今の日本で「自然と生物」について錯覚していることを取り上げたいと思います。
1) サカナが育つには、チッソ、リンなどの海藻類が育つ「栄養」が必要ですし、サカナの代謝に必要な「鉄、亜鉛、重金属など」も必須です。それを「人間の目から見たら毒物だ」ということで排除し、規制を強めてきて、結果的に自然の循環ができずにサカナが育たなくなりました。「汚いもの」を人間の基準で考えることはできません。具体的にこの被害が増えていて、漁師さんは困っています。
2) 日本の自然を豊かにするには「外来種」が適当に侵入してくるのが大切です。ましてブラックバスのように今から90年も前に日本に来て「綺麗な湖には棲めないが、汚いところは大好き」というサカナを「汚れた琵琶湖」に放ち、「汚い琵琶湖」をそのままにして「ブラックバスという外来種を排除せよ」といって膨大な税金を使っています。「害になる動物や植物」を排除するのは場合によっては良いのですが、「外来種だから排斥する」というと自然は多様化を失います。
3) 「トキ」という鳥は平安時代ぐらいまでは日本で繁殖していたのですが、背丈が80センチもある大型の鳥類は江戸時代にはすでに生息が難しく、明治時代に実質的に絶滅しました。それを人工的に育て、人間が多く大型鳥類が生息できない今の日本の野に放ち「何匹が死んだ」とまるで喜んでいるように見えるのは、ゆがんだ現代の日本社会を象徴しているようです。私たちはトキが絶滅した理由、日本が大型鳥類を共存できるのかなどより深く考える機会でしょう。
4) 森林はCO2できていて、樹木の数が変わらないかぎりCO2を吸収も放出もしません。でも小学校の理科にも反して森林がCO2を吸収すると社会が言うのは教育を混乱させます。割り箸の忌避運動や紙のリサイクルも同じで、名前は森林保護運動ですが、実体は森林破壊運動になっています。最近、森林が84%を占める高知県では「森を伐採しましょう」というポスターを貼っています。森は人工林と自然林のバランス(約1対1)で、人工林を伐採していかないとあれます。
5) かつて水力発電は自然に良いと言って建設し、日本の自然を破壊しました。電気はエネルギーですし、エネルギーにはエネルギー保存則があるのですから、自然からエネルギーを取れば自然が破壊されるのは当然です。これもまた科学の基本的は法則です。そういう経験をしているのですから、今頃「自然エネルギーは自然に良い」と言うためには、科学的に新しい見解を出す必要があります。
このように、「自然に関係する環境対策」だけでも、その非科学性は極端なほど際立っていると言えます。日本は科学技術立国ですし、環境こそ学問的に正しいものを選択すべきです。すぐにでも専門家が訂正し、多くの人が正しい判断をされることを望みます。
(平成24年8月26日)