福島県沖のアイナメに規制値の285倍(法律的に合理的な規制から言えば、712倍になる。つまり今の食品安全基準は法律の規定に反して「内部被曝だけで1年1ミリ」になっている。本当に法規を守るなら 、「外部+内部」だから、1年0.4ミリ程度となる)のセシウムが観測されました。
この測定が東電の測定であることに多くの人が違和感を感じています。東電も事故発生の原因を作ったのだから、当然、周囲環境のモニタリングは義務ですが、国が国民を守る立場なのだから、国からも同じような測定が必要でしょう。でも、もっと厳しい内容のものがイワシで出ています。
千葉県産のイワシでトリウム234とプルトアクチニウム234mという聞き慣れない放射性物質が検出されました。読者の方からの情報で私も知りました。7月30日に鹿島沖から水揚げされたもので、セシウムが1キロ0.3ベクレル程度、そのほかに上記の元素が10から30ベクレル程度、検出されています。
1)一体、トリウムとかプルトアクチニウムってなにか?
2) それは何を意味しているか?
3) 現実に危険か?
について解説をいたします。
ウランなどの重たく不安定な元素は、その元素ができたときから放射線を出し続けて崩壊しています。多くの放射性元素も崩壊するのですが、ウラン、トリウムなどの元素は、「ウランが壊れてできたトリウムがさらに崩壊し、それがラジウムやラドンなどとドンドン崩壊して最後に鉛になるまで14ぐらいの放射線元素を出します。
このことを普通「崩壊系列」といって、ウラン(ウラン238)があれば、次から次へと放射性物質ができて、ウランがなくなるまでその系列にある放射性元素はほぼ同じ放射線を出しています。
イワシの中で見つかったトリウムやプルトアクチニウムというのは、このウラン系列のもので、つまりイワシの中にはウラン系列の放射性物質がまんべんなくあるか、もしかするとイワシがトリウムやプルトアクチニウムだけを選んで取り込んだか、どちらかです。
だから、この系列のものが一つ見つかると、普通は14から15ヶの放射性元素が同時に見つかり、どの元素も同じ放射線を出しますから、一つが30ベクレルなら、キログラム450ベクレルはあると推定されます。
ウランの崩壊元素の規制値はほぼ1キログラム1万ベクレルで、通常はその10分の1の1000ベクレルで注意をしますので、まだそこには達していないことになります。
でも、ウランは「核分裂でできたもの」ではなく「原料」です。その意味ではウランがあればプルトニウムもある(3号機)ということになりますから、この測定値はかなり危険な事になると言うことです。しばらく注意をします。
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ところが、ほぼ同時にシロアリ駆除剤として、ウラン系列と同じようなネプツニウム系列の放射性物質が使われていることがわかりました。これも読者の方からのご連絡ですが、読者の方が放射線がないはずのところで線量計で測ったら毎時0.20マイクロシーベルトだったので、ビックリして、その原因を探したらシロアリ駆除剤であることが分かったのです。
シロアリ駆除剤にネプツニウム系列の元素が使われていることは知られていますが、それでも法規で決まっている1年1ミリ以下になるように(つまり毎時0.11マイクロシーベルト以下。自然放射線の0.04マイクロを足しても0.15マイクロシーベルトを超えてはいけないので、違法なシロアリ駆除剤ということになります。
普段なら放射線の被曝が少ないので、問題にならなかったと思いますが、今は、イワシからも、アイナメからも、シロアリ駆除剤からも、地面からも放射性物質の被曝を受ける(足し算)ですので、政府はもっと本腰になって国民の被曝を止めなければならないでしょう。
放射性ヨウ素の問題も謎のままで、次々とこのようなことが起こるのを一刻も早く止める必要があります。
このようなことは前向きに進めればすぐ解決します。風評もなくなります。つまり政府が「法規を守る」と宣言し、法規に基づいた具体的な規制を決め、それをシッカリ守る姿勢を示せば、解決することです。また日本には多くの国立研究所がありますから、でてくるデータを次々と解析して説明をすれば良いとおもいます。
特に巨大な地球コンピュータなどを「税金」で保有しているのですから、それを有効に使うべきです。また原発の再開に当たっては、2011年の福島の方の苦痛が、次の事故の時に起こらないように至急、検討をしておく必要があります。
今でも政府、東電は「福島原発事故は事故ではない。死人がでていないのだから、誰も被害を受けていない。だから原発は再開できる」というスタンスですが、私には国民に責任を持った政治、社会的責任のある企業とは考えられません。
(平成24年8月22日)