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(この記事は「バッシングし合うより話し合い」を目指したものです。私たち技術者の目的は相手を罵倒するのではなく、最終的に人間の知恵の産物を人間の幸福のために使うことですから)

「エネルギー問題に発言する会」という会が10年ほど前にできて、原子力関係の技術OBの方が技術の立場から「正確な情報を提供する」(電気新聞)ことを目的に運営されています。

この会の発起人は原子力技術のそうそうたるメンバーで、私も個人的に存じ上げている方もおられますし、技術者としても人間としても尊敬できる方が多いのがこの会です。

しかし、福島原発以後、私とかなり違う見解を公に出しておられます。おそらく技術者同士ですから、議論すれば誤解は解けると思いますし、私が間違っていることもあると考えられますので、ここにブログ上ですが、ご質問申し上げます。

・・・・・・・・・ご質問・・・・・・・・・

貴会は、「東電福島原発事故後の福島県の復旧対策は、国際放射線防護委員会(ICRP)による「年間100mSv以下の放射線被ばくでは健康被害の報告は無い」という基本的考えに沿った防護基準を拠り所にして行なわれている。」としておられますが、次のことはご存じと思いますので、上記のご見解との関係をご説明いただくと、多くの方がより原発の安全性について理解が深まると思います.

1) 事故が起こらない場合の「公衆の人工的原因による被曝限度で医療を除くもの」は1年1ミリを限度としていること、

2) 原発の安全設計に当たっては、福島原発事故の前から安全設計が決まっていて、それに沿って原発が作られていたこと、

3) その安全設計の概念はこのページの下に示したように、事故の頻度と被爆の限度の関係で決まっていること(図は国際的に議論されていたもの)、

4) 従って概念上は、1000年に一度以下の事故なら1年1ミリを守る、1万年に一度の事故なら1年10ミリまで、さらに頻度が低い場合は1年100ミリまで限度を上げうる、

5) このような事故の頻度と被爆の限界についての概念は原発を有する先進国に共通した概念であり、技術的知見として共有されていた、

6) 我が国ではこのような国際的な概念に基づき、「きわめて希な原発事故の場合、1年5ミリまでの被爆を許容する」ということが明文化されていた(下に示した)、

7) また、事故時の被爆によって発生するガンの発生率は、事故が起こらない時の0.05%に抑制するとされていて(下に示した)、これは11ミリよりかなり厳しい数値である、

8) これらの概念、設計基準、運用などの情報は国民にも開示され、その約束のもとで原発を設計、建設、運転を行っていたこと、

9) ICRPは権威のある委員会ではあるが任意団体(NPO)であり、従来からICRPの勧告を日本政府が受け入れるかどうかは、日本国内の専門家の検討を経て、しかるべき手続きで採用されたり、されなかったりしてきた、

10) これらのことから、今回の事故は原発が計画されてから50年目の事故であり、かつ震度615メートルの津波であることから、100年に一度、あるいは1000年に一度程度の事故であるとされる、

11) 従って、技術者としては国民との約束と今後の原子力技術のことを考慮すると、11ミリの限度をあげるべき理由はない。

12) 技術者にとっては社会的約束(法規や基準など)のもとで技術の成果を問うべきと思う。その点で「事故以前には日本には事故が起こったときの基準は存在せず、ICRPの勧告にそのまま従う以外にない」という論理を私はなかなか理解できないでいる。

私が関係してきた技術的経験や公的な基準などから以上のように結論できますが、貴会は「ICRP1100ミリまで大丈夫」といったので、日本人の被曝限度は100ミリまでOKということで、強い影響力を発揮しているように思います.

決して、感情的にならず、相互に理解する道を拓いてください.私も個人で活動していますので、データや考え方が不十分かも知れません。間違いがあれば修正しますが、多くの方が今後の生活も含めて迷っておられますので、前向きのご回答を期待します.

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(平成2489()