日本がどの程度の電気を使い、どのぐらいの電気料金であるべきかというのは日本の将来を考える上でとても大切なことです。電気は自動車、テレビ、そして家屋のように「生産するもの」ですから、原則的にはその国が求めているだけ製造会社は供給するのが正しいと言えます。
まず、第一に適切な電気の量ですが、
1)ノーマルな経済の原理によって国民が求めるだけ供給する(正常な需要供給)、
2)国策によってやや過剰に供給する、
の2つがあります。
まず第一に国民が産業や快適な生活を送る上で、電力の生産を担当している電力会社は、需要を充分に満たす電気を供給するということです。これはきわめてノーマルなことで、自動車が欲しいけれど買えない、テレビが欲しいけれど買えない、トイレットペーパーが必要だが不足しているという状態は、やや供給力が過剰な日本のような生産規模の国家では考えられないことです。
むしろ不足する状態になるのは「供給会社の経営責任」でもあります。内需拡大の必要性が強調されたのは今から30年前。政府も経団連も内需拡大の基本方針に意義を唱えたことはありません。そして内需を拡大するためのもっとも基礎的なものは国民の活動量を増やすことであり、それは日本の発展に結びつき、景気を良くし、若者に適切な仕事を与えることになります。
でも、電力のようなものは国民の活動を活発にするために政府の政策でやや過剰に供給するということも必要です。つまり日本の発展のためには電力を充分に供給することが大切だからです。
このような正常な電気供給量の判断に対して、現在は「電気の消費量を減らそう」、「国民の生活の質を落としても節電」などと言われ、それが識者に支持されているのは驚くべき事です。
原発の事故の原因がどこにあろうと、それを含めて製造会社の供給責任ですから、「節電」は日本国のためにならず、景気を悪化させ、日本の将来を暗くし、正常な経済活動を阻害し、電力の経営失敗を国を挙げて許すということになります。
それでは具体的にどのぐらいの電力供給が適切かというと、一応、アメリカの供給力が参考になるでしょう。アメリカの電気出力は8億キロワットで、国民一人あたり2.7キロワットです。日本人の人口は1億2400万人ですから、アメリカ並みの電力を供給すると3億3000万キロワットになります。
現在の日本の電気出力は1億8000万キロワットですから、まず第一に日本の産業界がしなければならないのが、電気の製造量を1.8倍に上げることです。これを国民側から見ると、「節電」どころかむしろ電気を今の1.8倍使うのが適切ということになリます。
さらに原発の稼働、および増設をしないとすると、1億2000万キロワット程度に落ちますから、現在の2.8倍程度の発電をすることになります。
この計画を本気になって日本の産業界が始めたら、需要はグンと伸び、景気は回復し、日本人が将来に夢を持つことが出来るようになるでしょう。これまで数限りない利権側からの宣伝(節電)の意識を変えて理性的に考えるのはかなり大変とおもいます。
でも、電気やエネルギーの節約はその国の没落につながりますから、私たち大人の責任として原点に戻って冷静沈着によくよく考えてみる必要があります。
(平成24年7月20日)