今日も鹿児島の豪雨災害をニュースが報じていました。なぜ、このように毎年、自然災害が続くのでしょうか?それを少し考えてみました。

2012年6月22日国連国際防災機構が各国の自然災害の大きさを発表しました。第一がアメリカで5600億ドル、二位日本4000億ドル、三位中国3300億ドルで、その他の国は一桁以上小さく第四位はタイで450億ドルです。

これを一人あたりで示すと、日本が3200ドルでダントツ、二位がアメリカの1800ドルとなります。中国は人口が多いので、一人あたりにすると一桁低く約200ドル、タイは人口が6600万人なので一人あたりにすると680ドルで、タイの方がむしろ中国より損害が大きいことがわかります.

災害の大きさは、1)災害自体の大きさ、2)その国の発展度合い、があります。一般的に災害の規模が小さくなっても、都市などが近代化されていないと「お金で換算した被害総額」は都市が発展しているほど大きくなる傾向があります。

このトリックを使ったのがゴア元副大統領で、「温暖化でハリケーンの被害が拡大した」と言ったのですが、実は20世紀のハリケーンは後半の方が小さかったのですが、ニューオーリンズなどの都市化が進み、ハリケーンの対策をサボっていたので被害が増えてきたということを逆手に取ったのです。

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ところで、なぜ、日本は世界でも一人あたりの災害が飛び抜けて大きいのでしょうか? すぐ「日本は自然災害が多いからしょうが無いよ」と言われますが、「日本は科学技術立国だから、自然災害ぐらいは克服できるはずだ」という方がずっと前向き思考ですから、「自然災害の原因を探って被害を小さくする」ことを考えてみます.

日本の自然災害の原因は2つあります.
1)先進国で地震があり、大型台風(ハリケーン)があり、土砂崩れが多いのは日本だけ、
2)官庁が縦割りで総合的に自然災害から国民を守ろうという政治が行われていない。

まず地理的なことでは、次の図(赤い筋が震度6以上の地震が起こる地域)で示したように、世界の大型地震は西太平洋に集中しているなどがあります.この地図でわかるように日本は地表のひずみ(マグマの上で動く地殻のひずみ)を一手に引きうけているような地理的関係にあります。これは今回の原発の事故にも関係があったのです。

 

また大型台風やハリケーンが発生するのは、日本やアメリカに集中していますし、日本は砂でできているので豪雨などで土砂崩れが多発します.でも、近代日本が誕生してからすでに150年も経っているのですから、地理的不利を克服したいものです.

たとえば土砂崩れを取り上げてみましょう.日本では土砂崩れの災害があって、たとえば道路が崩れると土建屋さんが出動して道路を「旧に復する」という事をします。「旧に復する」というと良いことのように思いますが、「崩れる地形のところをそのまま元に戻す」のですから、また土砂崩れが起こるのです.

本当は、一度崩れたらその部分を削って二度と崩れないように平らにすることが合理的です.日本の地形は造山活動が起きたときに偶然に決まったものですから、今の状態が「最適」であるということはありません。平野が多いのは良いことですし、余りに急峻なところで人が住みやすい場所は徐々に削って平らにしていく方が良いでしょう。

でも、そうすると「土建屋が儲からない」という問題があります。私は若い頃、ある地方の県で仕事をしていたのですが、どうも土建屋さん、とくに土木会社の景気がよいのです。そこで調べてみたら、大雨や台風で土砂崩れが起こったら「旧に復する」ということで、「土砂崩れの起こった前の状態」にします。

もともと、「前の状態」で土砂崩れしたのですから、旧に復するというのは「また災害に遭う」ということでもあります。このような事すら合理的な議論ができないのが、今の日本の「知性の劣化」を示すものでしょう。

日本には山が多すぎます。「日本の自然はどのようにあるべきか」という研究を進め、危険な箇所を削って平野を広げるなどの「環境の改善」につとめるべきでしょう。現在の日本は「減税で首相になり、増税に命をかける」ということを認める社会ですから、国土についても「知性の劣化」はかなり進んでいます。

「tdyno.154-(7:58).mp3」をダウンロード

 


(平成24627日)