「使用済み核燃料の放射線は、使用前の核燃料の放射線の約1億倍だから、とても危険」という表現が使われています。ここで「1億倍」の前に「約」がついているのは、使用中のものは核爆発をして、次から次へと「放射性物質」ができるので、出来たばかりの放射性物質が分解して強い放射線をだします。

 

でも、1秒以内とか1分以内に分解してしまうものが多いので、4日も経てば1000分の1になります。だから、核爆発を止めた瞬間と比較するか、止めてから少し時間が経ったときと比較するかで何10倍、何100倍と違ってくるので資料によって少し差がでます。ここでは一応、多くの人が1億倍としているので、それを参考にしました。

 

まず、使用前の核燃料はどんなものでしょうか? 普通はウランの同位体の2354%ぐらいのものが使われます。それを原子炉に入れる時に作業員が点検しますので、その時の写真を下に示しました。

 

 

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ビックリされる人もおられると思いますが、燃料棒から30センチぐらいの距離で放射線に対して無防備な作業員がゆっくり検査しています。ウランは核爆発したあとは別の元素になって大変な放射線をだすのですが、ウラン自体は手袋をすれば手で持てるものです。

 

そこで、この写真の状態を基準にして、「使用済み核燃料からどのぐらい離れると大丈夫か」を計算してみたいと思います。核燃料棒からは放射線が出ていますから、「距離の2乗に反比例」します。写真の作業員の10倍の距離(つまり30センチの10倍で3メートル)だけ放れると100分の1に、10000倍(3キロメートル)離れると1億分の1になります。

 

つまり、使用済み核燃料から3キロメートル離れたところでは、この写真と同じように行動できるということがわかります。だからどうということはありませんが、使用前の核燃料と使用後の核燃料のおおよその危険性がわかります。

 

 

 

(平成24530)

 

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