原発を再開するためには、第一に原発自体が安全でなくてはならず、もっとも重要なのは今まで「多重防御」と言っていたことを本当に実現することだということを示しました。
第二には、政府が国民を守るという姿勢を持つことで、今回の福島原発事故の時のように、
1) 法律で1年1ミリ、事故時は10万年規模で5ミリまでと決まっているのに、都合の良いように20ミリとか、食材の17ミリ(セシウムだけで5ミリ)などと変えてしまう、
2) 土壌など1平方メートル4万ベクレル以上は移動と除染と決まっているのに、福島県の3分の1になるから知らん顔をする、
などをしたら、安全は守れません。
これは大変なことで事故の前に「事故が起こったらこうする」と決めておいて国民に「だから安全」と言っておきながら、いざ事故が起こると自分たちの都合の良いように決めると言うことですから、「安全だ」というそのものが意味が無いということを意味します。
そして第三に「非常時の備え」が必要です。もちろん豪華客船が救命ボートを備えているように人間が行うものはなんでも「非常時の備え」が必要です。原発にはそれが全くありません。今までの東大教授と官僚の論理は「非常時の備え」をすると原発が不安全と言うことになるのでやらないという不健全なものでした。
今回の大飯原発の再開問題でも、まだ「非常時の備え」はしないということですが、これでは「原発は安全」などととてもいえない状態です。非常時の備えは、
1) 原発がどのような状態になったら「危険」と判断して、地元消防に連絡するか、
2) そのときに風向きを気象庁が発表するか、
3) 地元消防に住民に正確に事態を知らせ、避難させる実力があるか、
4) 避難先、食料、水などはどこに設置しておくのか、特に乳児用のミルクの水など、
5) 30ミリシーベルト程度の被曝の段階になればヨウ素剤の配布、
6) 病人の移動(福島のように「自動車で逃げてください」ではダメ)、
7) その他(書き切れないから)
などです。原発の非常時に何を準備するのかということ自体をあまり考えていない節も見られ、電力会社がいかにいい加減な考えで原発をやっているのかがわかります。
これらのことは必ず再開までは解決しておく必要があります。福島原発の時に本当にかわいそうに思ったのは、水が汚染されて赤ちゃんに粉ミルクを溶いてあげることができず、泣く泣く、汚染された水道を使ったお母さんがおられました。
心中察するにかわいそうでなりません。お母さんは粉ミルクを溶く水が放射性物質で汚染されていること、それがどのぐらい汚染されているかもよくわからず、でも赤ちゃんはおなかをすかして泣く・・・どんなに辛かったかと思います。
こうして苦しんでいるお母さんに対して、データを公表するのを渋り、テレビは報道せず、そして「ヒステリー!」と非難するのですから、私には鬼畜生の行状に見えます。
船が沈み、溺れかかっている母子を救わない人がいるでしょうか? そんな日本と日本人だったのですが、それを教訓にして2度と再び、日本の母子を見捨てない社会を作りたいものです。
(平成24年4月19日)