原発事故から1年。原発事故後に起こった日本の混乱について考え、必要なら対策を打つべき時期にきました。また、1年前のことを正しく理解することは今後の生活にも大いに役に立ちます。その意味で批判も前向きな行為でもあります。

 

まず、第一には有名になった「直ちに健康に影響はない」と官房長官や保安院が繰り返したことです。後に官房長官は「7回しか言っていない」と釈明していますが、官房長官ですから間違っていたら1回の発言でも修正、説明などが必要です。修正がないと正しいステートメントだったことになるからです。

 

 

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このグラフはチェルノブイリ原発事故の時の子供の甲状腺がんの発生状況です。このようなデータは内閣府に専門家がそろっていることを考えると、当然、官房長官などの方はご存じだったと思います。つまり、放射線の被曝によって発症するがんなどは4年目から、妊娠などの障害は15年目などの遅い発症があります。

 

だから、「直ちに健康に影響はない」ということを政府が繰り返したことと、強制的な避難手段(バスなど)を提供しなかったことから、「直ちに健康に影響がないから、政府は国民を被曝させた」ということになります。

 

その後、有識者、マスコミなども「福島原発事故で死んだ人はいない」、「原発の上を元気に鳥が飛んでいる」、「原発周辺の住民に被爆の疾病が認められない」などを繰り返しました。

 

この記事に示したグラフを出すまでもなく、放射線による被曝による疾病は遅発性(少し時間がたって発症する)ことは一般的にもよく知られているので、それに反することを発言する専門家はなぜ即発性の疾病だけを言ったのかを明らかにするべきでしたし、そのような専門家を登場させたマスコミもその理由を1年を経た現在、発言した専門家やマスコミが「誤っていた」ことをはっきり言う必要があるでしょう。

 

これをごまかすと、今後のことを考える人もどう考えてよいかわからなくなるでしょう。少なくとも日本国民を被曝からまもる法律に大きく反したことを公の人が言ったのですから、訂正かなにかをしなければ今後、被曝を避けることを考えるにも大切と思います。

 

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今、多くの人が「このままここに住んでいて大丈夫だろうか?」、「このままの食生活でOKか?」と不安を感じておられます。この原因は「直ちに健康に影響がない」というし、「法律では11ミリ」だし、とダブルスタンダードだからです。

 

私は終始一貫、「学問的に被曝と健康の関係がわからないのだから、311日以前の法律の基準を守っておけば、原発事故前の状態の中で生活するのだから、それで安心するしか方法はない」という考えで、それは「被曝総量11ミリ、少し我慢するなら15ミリ。子供は可能か限り1ミリ。内訳は、外部0.4ミリ、内部0.4ミリ、水0.1ミリ、土ほこり0.1ミリ。住むところの土壌は1平方メートルあたり4万ベクレル以下、物質は1キロあたり1000ベクレル以下(セシウム)、食材は1キロあたり40ベクレル。水1キロあたり10ベクレル」というところです。

 

このような値は被曝の内訳(外部0.4とか)が決まれば自動的に決まるもので、被曝の数値はとにかく「外部、内部、水、土」からの被曝量を決めないと計算ができません。また注意が必要なことは「東大教授はじめ偉い人」は「足し算ができない」ということを親としてはよく知っておくことです。

 

足し算は、1)外部、内部・・という足し算、2)これから30年間の足し算、の二つが必要です。つまり、たとえば「瓦礫の危険性」という意味では、瓦礫だけを考えればOKでも、薪ストーブからの被曝、焼却炉からの被曝・・・などを足しているかということです。

 

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また数年後に子供に被曝による病気が起きたとき、政府や自治体はいいわけをし、11ミリ以上でも大丈夫といった専門家は逮捕されない可能性がありますし、そのときに責任者が罰を受けても、子供の健康とは別問題です。このところを親として覚悟を決めておく必要があります。

 

つまり11ミリ以上の被曝は「これまでの日本人が経験していない長期被曝」になりますから、その責任は親や学校の先生にあると言うことです。

 

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(平成24331日)