被災地から瓦礫を搬出することで、多くの人が不安を感じている。これに対して「空気的事実」を作ろうと「助け合う。温かい心、絆。恩がある」などあらゆる言葉を持ち出して不安に思う人を社会的にバッシングし、NHKが「被災地がいかに困っているか」を放送して「空気」を作っている。

 

しかし、すでに日本は近代国家であり、科学技術立国、法治国家である。データに基づいて安全なものは安全、危険なものは危険、違法なものは違法と区別し、安全なものを持ち出すのはなんら問題は無い。

 

日本人なら誰でも被災地を助けたいと思っている。でもだからといって法律に違反したり、ウソをついたり、我が子を危険にさらしたくないといっているだけだ。それをこの前、ある三重県の市長とテレビの解説者が「理由無き反対」と言っていた。まるで村八分、魔女狩りの世界である。

 

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ところで、そこでそろそろデータが出てきたので、ここで評価をしたい。かなりの場所が出てきているが、岩手県陸前高田市の瓦礫を例にとる。瓦礫の中の繊維の放射線量が1キログラムあたり1480ベクレルと測定されている。

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この瓦礫の搬出について、「日本人は法の下に平等」であるという原則に従い、昨年の夏に14歳の少年が放射性物質をわずかに含んだ蛍光塗料が塗ってあるキーホルダーを持っていたとして書類送検された時の法律(今でももちろん適応される)を使う。このブログでは、子供や許されないが大人や大臣は許されるという立場はとらない。

 

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文科省による「クリアランスレベル(放射性物質を扱う設備や許可された専門家ではない素人(自治体)が取り扱える「放射能を気にしなくても良いレベル」)」は1年に10マイクロシーベルトの被曝にならないものであり、これに違反すると1年以下の懲役か100万円以下の罰金になる。

 

また文科省は、土壌のセシウムの濃度(1キロあたりのベクレル)とそこにいる人の被曝の関係を公表しており、その式は、logS(μ/h)=0.815logCs-3.16(文科省のデータのうちではやや線量が低めにでるもの(国側に有利な式))である。ここでSは1時間あたりのμシーベルト、Csは1キロあたりのベクレルである。

 

一般人が被曝してもよい限界は1年1ミリであり、「放射性物質」の定義は1キログラム1万ベクレル(セシウム)であり、その10分の1で通常の規制が行われる。

 

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これで計算すると、陸前高田市の瓦礫の中の繊維は、1キロ上がり1480ベクレルなので、被曝量は2.32ミリシーベルト(1年)になり、クリアランスレベルの実に232倍、1年1ミリの限界も超える量である。

 

次に陸前高田市の瓦礫の平均汚染度は加重平均をすると、1キログラムあたり116ベクレルになる(不明な28%は平均と近い100ベクレルとした)。この値を文科省の式を使って計算すると1年0.29ミリシーベルトになり、もしこの瓦礫を搬出してどこかの市が受け入れたら、市長は逮捕され、懲役1年以下の有罪になる(14歳の少年と同じ厳密性で検察が動いたら)。

 

また、焼却すると20分の1ぐらいになるので、焼却灰は1キロ2314ベクレルとなり、これは1年に3.35ミリシーベルトに相当するので、クリアランスレベルの335倍である。従って、焼却を行った市の市長さんは逮捕され、懲役1年以下の判決を受けるだろう。

 

なお、この灰は環境省が勝手に決めた8000ベクレル(ほぼ法律違反)を下回るが、法律で定められたセシウムの限度1キロ1万ベクレルの10分の1に相当する1000ベクレルを超えているので、良心的な自治体ならさわらないだろう。

 

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もともと日本には日本人を被曝から守るいろいろな法律があり、「クリアランス・レベル」とは原子炉などを解体したときに「放射能を気にせずに移動などができる基準」である。今回の瓦礫は「原子炉を解体した」という場合と同じ(爆発によって原子炉が解体されたのは明らかで、その破片が陸前高田市に散ったのだから、この規則で適切)である。

 

日本人の健康を守るという点では難しい法律論議は要らない。どの法律を使っても「日本人を守るために規制値を決めている」からである。なお、この計算は陸前高田市を計算したが、岩手県、宮城県に多くの瓦礫がクリアランスレベルを超えている。

 

科学的事実(数値が規制値を超えている)のに、空気的事実(安全だという空気があるので、規制値を超えていないと言う)が放送されている。

 

(平成24326日)

 

(緊急なので音声は別途つけます)