福井の原発を審査する福井県原子力安全委員会の専門委員の先生が、関西電力が支配している団体からお金をもらっていることが判った(朝日新聞)。

 

西本大阪大学教授360万円、三島原子力安全システム(元京大教授)300万円、山本名古屋大学教授100万円、泉福井大学教授30万円。また重工などから飯井福井大学教授700万円である。このうち、半分が委員就任後に全額をもらっている。

 

これにはビックリした。関西電力の原子力の安全を審査する現役の専門委員が関西電力からお金をもらっているというのは、ありえない。普通、審査に当たるときには「利害関係なし」ということを宣言する。もちろんお金などもらっていて審査ができるはずもない。賄賂になってしまう。

 

今回、お金をもらっていた先生方は一斉に「研究費としてもらっているのだから、審査に影響を与えない」と言っておられるが、そんなことは常識の範囲外だ。これほど常識のない先生が原子力発電所の難しい安全審査などできるはずもない。

 

安全審査は単純な技術だけの問題では無い。人の動き、管理のしかたなど多岐にわたるので、常識のない人が審査をできるはずもないのだ。二つのことを至急、しなければならない。

 

・・・・・・・・・早速、改善・・・・・・・・・

 

一つは、この際、原発関係で電力、あるいは原発関連の会社から研究費、出張費などを受け取っていた国や県の委員は、「自分からその内容を率先して公開」するべきである。朝日新聞が調べたから判ったというのでは学者としての良心が許さないだろう。そして2005年以後ぐらいからお金をもらっていた先生は一斉に審査を引くべきだ。そうしないと国民の理解を得られるわけもない。

 

二つ目は、贈賄側、つまり電力、重工側が原子力の審査などに関わる先生などに出したお金の一覧を公開するべきである。特に電力は公共的事業だから、お金の出入りはオープンにするべきである。

 

長年にわたるつきあいだけでも癒着の原因になるのに、審査期間中にお金をもらいながら審査をして、「研究活動のお金は審査に影響しない」と言う先生はそれ自体がウソである。

 

つまり、私たちは「審査対象者や関係者からお金をもらったら審査に当たらない」ということをズッとしてきたし、それは大学教授の常識である。この際、お金をもらった先生とそれを管理している大学、それにお金を私が電力は企業は自らネットなどで公表し、金品やなにかの便宜をはかってもらった学者は直ちに職を辞するべきだ。

 

こんなことが日本で白昼堂々と許されてはいけない。そして電力からのお金は私たちの電気代なのだ。

 

私はあまりに安全審査がいい加減なので、「原子力関係の立地、設計などに関わることで、不純な噂のある案件は安全審査に入らないという規則が必要」と発言し、原子力安全委員会の部会で顰蹙を買ったことがある。「そんなこと言いなさんな」ということだ。国民の電気代を関係者で分け合っているのことぐらい判るだろうという意味だ。

 

だから日本の電気代はアメリカの2倍になる。それでも国民は素直に節電をしようとか、高い電気代を払っても良いという。ここまで来ると国民の方にも責任があるようにも感じられる。

 

日本の大学に企業のお金が入るようになって久しい。それはすっかり学問と教育をダメにしてしまった。でもそれだけではなかった。お金をもらった先生が原発の審査をして、無意識のうちに手心を加え、それが原発事故に繋がった。そして今でも福井原発の安全審査に関西電力のお金をもらっている先生方が審査に当たっていると思うと、早速、爆発に備えて準備をする必要がある。

 

日本の学者の皆さん! 人間がそれほど強いものではないことも学問的に判っておられるはずです。私たちはある時には社会を教育する立場であるという原点に返り、お金と全く切り離した大学生活を送ろうではないか!

 

「takeda_20120325no.465-(6:46).mp3」をダウンロード

 

 

(平成24325日)