喫煙、禁煙に関する日本の状態は、人生を事実とその解析で過ごしてきた私にとっては耐え難いことです。このように科学的に不合理なことが、自分の身の回りで頻繁に問題になることは不愉快であり、科学技術立国として恥ずかしい思いで一杯です.

 

先回は、「肺癌の一部は喫煙が原因となっているのは医学的に明確」、「喫煙が肺癌の原因になるということと、喫煙を禁止しなければならないということは別問題」、「喫煙が肺癌の原因になっているというのは全体のトレンドと最近の肺癌の急増と肺癌の種類の変遷を見ると科学的には不確かである」、それに「喫煙の害に関する厚労省やがんセンターのデータが隠されている」という4つを説明しました。

 

このほかに、喫煙は血管障害、歯の悪化などの原因になることもありますが、まずこの複雑な問題で感情的な対立のある問題を「和解」するには、「タバコを吸うと肺ガンになる」、「副流煙は肺ガンを誘発する」というのが科学的根拠に基づいているかだけにまず絞りたいと思います。今回は副流煙の問題です。

 

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「喫煙と肺ガン」と同じように、「副流煙と肺ガン」も厚労省とがんセンターで行われ、その中心的なデータは同一人物によってとられています。そして、日本社会では「副流煙によって肺ガンになる」と言われています。

 

そのデータによると、タバコを吸わない妻がタバコをすう夫と一緒に暮らした場合、どのような病気になるかというと、第一位が脳腫瘍で肺ガンの2倍、第三位が肺ガンとなっています。

 

この結果について医学的な説明もありますが、データに忠実に表現するなら「副流煙によって脳腫瘍になる」と言わないと正確ではありません。肺ガンになるのは脳腫瘍の2分の1なのに、「喫煙と肺ガン」を統一させるた目に「副流煙によって肺ガンになる」と言うのは的確ではないと思います。

 

厚労省やがんセンターはこの論文をもとにして行政的に喫煙を制限しようとしていますが、この論文はきわめて怪しげです。第一に調査期間が昭和41年から昭和57年ですから、この頃の「妻」のカルテなどに「夫」の喫煙記録が記載されている可能性が低いからです。

 

昭和41年というと1966年で戦後復興が終わり高度成長の半ばですから、「タバコが肺ガンになる」などということはまったく知られていませんでした。なぜなら、当時、男性は1年に50万人近く死亡し、喫煙率は80%を超えるのに、肺ガンは1万人もいっていなかった時代です。

 

その頃、「肺ガンになった女性の夫がタバコを吸っていたかどうか」という記録があるとは(普通には)思えないのです。このように(普通には思えない)ということでも調査が可能だったかも知れませんが、その場合は(科学的には)十分な説明が必要です。科学はその道の専門家が「合意する」ことが必要で、そのためには十分な説明がいるからです。

 

次にこの調査の対象者は実に171万人という膨大な数ですが、それにしては、「夫がタバコを吸っていたら妻は影響を受けるか?」という結果で第一位の脳腫瘍で無くなった女性はたったの34人です。つまり、「夫がタバコを吸っていたら、5万人のうち一人が脳腫瘍になる」ということなのですが、それを明示せずに「夫がタバコを吸うとその妻は脳腫瘍になる」と表現するのは不誠実です。

 

これは肺ガンについても同じで、171万人の妻のうち200人が肺ガンで死んでいますからこれも約8500人に1人の人のことを言っている(らしい)のです。このような少数の人なのに断定的な結論を出したことに対して、多くの批判がありました。

 

なにしろ生データが公表されていないので、数字がいろいろなのですが、妻がタバコを吸わずに夫だけが喫煙していた約7万人のなかで、肺ガンになった妻は142人とも報告されています.この場合は約500人に1人ということになります。

 

あまりに数が少ないのに断定的な結果を出したことに国際的にも糾弾されたのですが、その時に論文の著者は「タバコを廃絶したら、こんな論争は無くなる」と言いました。その後、この人の論文が日本の国の委員会でも問題になり、元データの提出を求めた委員に対して、座長が「資料は公開できません」と言った。

 

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受動喫煙が危険であるとして社会的に制限しようとした人として有名なのは、第一にドイツのヒットラー総統、第二にWHO(世界保健機構)のブルントラント事務局長でした。

 

ヒットラーは、バスや電車の中の禁煙条例、国防軍の喫煙制限、公共の場所、レストラン、喫茶店での禁煙、タバコの広告制限、そえにたばこ税を90%上げるなどをしました。何となく今の日本に似ているような気がします。

 

ブルントランド女史は、タバコの広告規制から入って、警告文、分煙とすすみ、国際的にタバコ規制枠組み条約を作った人。彼女は「タバコの制圧に成功したので、次はアルコール、電磁波と進む」と宣言しています。ちなみに彼女はタバコの煙と電磁波の障害を受ける人でもあります。電磁波の後は、香水→ファストフード→コーラなどの甘い飲料→肉と進むという話もあります。つまり国民全体を「禁欲的菜食主義」にすることが最終的な目的という政治的な活動なのです。

 

・・・・・・((注)私はタバコを勧めているわけではありません。事実を整理しているだけです)・・・(健康な生活は長寿をもたらすのでしょうか?)・・・・・・

 

●フィンランドが1974年から15年間、40から45歳の男性1200人を600人ずつに分けて実験を行っています。第一グループは、酒、タバコを禁止、生活リズムを正しくして年2回の健康診断。第二グループは酒、タバコOK、食事制限なし。15年後、第一グループの死亡は600人中17人、第二グループは全員生存。だからといって不健康な生活をしてよいということではありません。人間の寿命というのは実に複雑なのです。

 

●(第二話)コレステロールは悪者ということで、日本の厚労省は1リットルあたり2.2グラムを正常値としています。しかし、2010年の脂質学会の調査では、コレステロールが2.7グラムのグループがもっとも長寿でした。日本では医師がコレステロールが2.2グラム以上の場合、降下剤を処方されますが、その結果ウツになるケースがあります。たとえばJR中央線で自殺した人の全員(期間、人数不明)が降下剤を飲んでいたといわれています(JR調査)。ちなみに、降下剤の市場規模は年間4000億円です。厚労省がコレステロールの基準値を2.7グラムにしたら薬の市場規模はかなり減るでしょう。

 

・・・・・・・・・ところで・・・・・・・・・

 

タバコの煙で苦しんでいる人が多いのですが、これほど不真面目なデータや非科学的なことで禁煙運動を推し進めようとするから、いつまでも解決せずにタバコの煙で苦しむ人が出るのです。

 

この話の中、つまり「副流煙問題」のなかで現実にタバコの煙で苦しんでいる人の話が出てこないのは実に不思議です。おそらく真実は「タバコの副流煙は多くの人の健康には影響を及ぼさないが、呼吸器の弱い人、タバコの煙のアレルギーの人などが大変、苦しむ」というのが事実かもしれません。そしてそれが明らかになれば、対策自体もまた変わってくるでしょう。

 

この話は、被曝、地震予知、温暖化などとほとんど同じで、「官僚と御用学者」の組み合わせで国民はあらぬ方向に連れて行かれる良い例とも思います。

 

「takeda_20120320no.460-(18:06).mp3」をダウンロード

 

 

(平成24320日)