民主主義というのは多少の時間はかかっても、決して自分と反対の考えを持っている人を無視せず、罵倒せず、説得し、すべてを民主的手続きで進めることが日本にとって良いことだという確信です。

 

もちろん、政治体制は民主主義の他にも君主制や独裁制があるのですから、もし反対の人がいるのに十分な説明や説得をせずに「黙れっ!」と言うのなら、まずは外国に移住してから行って貰いたいためです。

 

瓦礫の危険性について基本的な説明が為されていないことはすでに数回かきましたが、「瓦礫が安全だ」という根拠が「法・規則」ならば、「なぜ、瓦礫以外の法・規則は無視しているのに、瓦礫だけは法や規則を守る」のか、その真なる意味を明確に誠意を持って地元に説明する必要があります。

 

2300万トンの内のわずか400万トンを多くの人の心配を押し切って実施しようとしているのですから、それなりに強力な理由と、十分な説明が要ります。

 

政府が事故後、約7ヶ月たった2011年の10月、放射線被曝から国民を守る厚生労働省の「電離放射性障害防止規則」の第28条には、「ある土地の危険性」について次のように定めています。

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これは放射性物質を取り扱う企業(事業者)はもし事業者が許可を得て使っている場所(放射性物質取り扱い作業室)以外に漏れたときには、「別表第三に掲げる限度の十分の1」まで下げることが義務づけられています。

 

別表第三を見ると、その限度は1平方メートルあたり4万ベクレルであることが判ります。私たちの日本は封建制度ではありませんので、政府は「お殿様」ではなく国民の委託を受けた代理人であることは憲法に明記されていて、政府は「法律や規則」で決められたことを守る義務があります。

 

この規則は放射線の被曝から実質的に国民を守るため、その生活する場所における汚染の程度を示しています。この場所がどこに相当するかはすでに文科省がマップで明らかにしていて、以下に示した図の青、黄色、赤の地域です。

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福島県はもとより関東などに拡がったかなり広い地域が該当することが判ります。しかし、実際にはこの地域についてごく一部で除染が行われているだけでほとんど何も行われていません。汚染が拡がらない措置(再飛散防止)、標識をたてること、それに除染について東電はまったく手をつけていません。

 

チェルノブイリの時にはソ連はこの地域に相当するところを強制退去としました。ソ連ができて日本ができないという理由も明確ではありません。また、もし「経費がかかるから止めた」という場合は安全性とは無関係ですから、それも明らかにするべきです。

 

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このことは、自治体が、法・規則で「生活するのには適切ではない」とされている汚染度について「安全だ」としていることを示しています。日本は法治国家ですから、法律で定められた値を自治体が守らないということになると、「新しい安全の基準」が「これまで(事故後6ヶ月後の改正でも同じ)守られてきた基準と何が違っているのか」について、善良な日本国民が理解できるように説明する必要があります。

 

瓦礫搬出の問題は、「善良でまともな常識を持った日本人が、事故後、突然、民主主義を放棄した人たちによって非難されている」という状況が続いています。私は瓦礫の処理が少し遅れるのと、日本がさらに民主的国家から離れること、瓦礫の安全性が不明なまま「議会が議決したから」というような理由で強行するのとを比較すると、まずは善良な国民が納得できる説明をする必要があると考えます。

 

私は瓦礫の搬出に疑問を持っている国民は過半数にのぼると思いますが、仮に少数でも健康に不安が生じるような時には、少数の不安を無視しないというのも民主主義の根幹と思います。

 

関係者の誠意ある態度を希望します。また、常識もあり遵法精神ももった多くの日本の識者が「被災地を助けよう」とか「被災地を助けないとは何事か!」などの前時代的なバッシングを瓦礫搬出に疑問を抱いている人に行うのは、日本人がもつ 誠実さや美徳に大きく反しますので、言動を変えてもらいたいと思います。

 

(平成24314日)